事例名称 |
重量物搬送設備の台車車軸が折損した |
代表図 |
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事例発生場所 |
工場生産ライン |
事例概要 |
重量物搬送設備の台車車軸が折損した。台車の位置はピニオンで決まり、ピニオンと同軸の車輪は常にレールとの間ですべりが生じていた。加減速の時に車輪に大きな密着力が働くので、車輪とピニオンとの間の車軸にねじり応力が作用した。さらに、車軸は段付き部分のギリギリまでキー溝が切ってあったため、応力が集中するキー溝部から車軸が破断してしまった。対策として、2本の車輪にとりつけた4輪を従輪として別個に作って荷重を支え、駆動輪にはピニオンだけをつけてラックレールに駆動力を伝達した。 |
事象 |
重量物搬送設備の台車車軸が折損した。折損箇所は車軸のキー溝部を起点とし、破断面に繰返し応力を示すビーチマークが確認された。 |
経過 |
重量物搬送設備を設計・製作した。稼動後しばらくして、台車車軸が折損した。分解調査したところ、折損は車軸のキー溝を起点としており、破断面にはビーチマークが確認された。 |
原因 |
荷重を受ける車輪とピニオン(静止位置精度を確保する)の直径が少し異なるにもかかわらず、同軸に取付けてしまった。つまり、車輪外径がピニオン外径より大きく車輪外周端の周速は大きくなるが、ピニオンとラックはすべらないので、常に車輪とレールとの間ですべりが生じていた。加減速の時に車輪に大きな密着力が働くので、車輪とピニオンとの間の車軸にねじり応力が作用した。さらに、車軸は段付き部分のギリギリまでキー溝が切ってあったため、応力が集中するキー溝部から車軸が破断してしまった。 |
対策 |
2本の車輪にとりつけた4輪を従輪として別個に作って自重を支え、駆動輪にはピニオンだけをつけてラックレールに駆動力を伝達した。 |
知識化 |
車軸1本で、駆動力伝達と荷重保持の2つの機能を行わせたのが問題であった。むしろ、駆動力伝達と荷重保持とに機能を分離し、ひとつごとにピニオンと車輪の機能を当てて、干渉設計を防ぐ。 |
背景 |
製造原価の削減で、機能を兼ね備えた設計を行う場合がよくあるが、不具合の発生する危険性が高い。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、企画者不注意、誤差設定不適、複数の作業、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、不良現象、機械現象、相互運動部、摩擦、応力集中、破断
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情報源 |
創造設計エンジンDB
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マルチメディアファイル |
図2.折損した車軸の詳細
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分野 |
機械
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データ作成者 |
張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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