失敗事例

事例名称 プレス成形品に疲労亀裂が生じた
代表図
事例発生場所 試作品試験室
事例概要 プレス成形品を試作し、図2のように繰返荷重をかけて試験したところ、コーナー部に亀裂が発生した。プレス工程で大きな引張残留応力が生じており、この上に繰返荷重が加わり、疲労亀裂(疲れ破壊)に至った。
事象 試作のプレス成形品に、繰返荷重をかけたところ、コーナー部に亀裂が発生した。
経過 プレス成形品を試作して、繰返荷重をかけたところ、コーナーに亀裂が発生した。FEM解析で応力が緩和するようにコーナーのRを大きくして、再び確認試験をしても十分な効果が得られなかった。
原因 プレス成形工程で亀裂部位に大きな引張残留応力が発生していた。
知識化 プレス成形品の強度を検討する場合は、成形過程で生じる残留応力を見逃さぬように注意する。
背景 疲労強度にたいする平均応力の影響は通常、図3のGoodman線図(疲れ限度線図)で予測することができる。図に示すように縦軸に応力振幅、横軸に平均応力をとり、疲労破壊するか否かを線図上で読み取ることができる。この事例の場合、成形によって引張残留応力が生じやすい形状であることをデザインレビューで気付いていれば、Goodman線図を用いて疲労強度が予測できた。すなわち、試験時の応力振幅σaがFEM解析でわかっているのだから、疲労強度限界線上の平均応力σmが求められ、残留応力がσmより小さかったら壊れないし、大きかったら壊れる。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、手順、試験、不良現象、機械現象、製造工程、残留応力、繰返し応力、形状、角形状、材料的要因、物質疲労、割れ発生・成長
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.疲労亀裂詳細
図3.Goodman線図(疲れ限度線図)
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)