失敗事例

事例名称 ナットの締結力で座金が変形し、ボルトが緩んだ
代表図
事例概要 装置の一部の部品を固定しているボルトが、緩んでしまった。ナット座面よりボルト穴径が大きかったため、ナットの締結力で座金が変形し、その後へたったので締結力が低下しボルトが緩んだ。製作済みの装置については、インローではまる部材を加えて、締結力が低下しない構造とした。恒久対策としては、ボルト穴径を小さくした。
事象 座金を介して部品を固定しているボルトが緩んでしまった。ナット座面よりボルト穴径が大きく、ナットの締結力で座金が変形していた。
経過 装置を稼動していたところ、異音がするので点検したところ、一部の部品を固定しているボルトが緩んでいた。また、座面も変形していた。
原因 ナット座面よりボルト穴径が大きかったため、ナットの締結力で座面が変形し穴の中に押し込まれた。そのうち、座金がへたってきて(応力緩和して)、ボルトの緩みに至った。
対処 製作済みの装置には、インローではまる部材を加えて、締結力が低下しない構造とした。
対策 ボルト穴径をナット座面より小さくするよう設計変更した。
知識化 ナットの座面径よりボルト穴径が大きい設計は明らかに失敗である。一般の平座金は圧縮されると座面の凹凸にならうように軟らかくできており、締結力を剪断で受けるような強度は有していない。
背景 締結力で座金が変形すること自体は、バネ座金と同じ効果であるが、時間の経過とともに、座金が応力緩和する(へたる)ことが、ボルトの緩みに至る。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、企画者不注意、誤差設定不適、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然的条件変化、経時変化、不良現象、機械現象、継手、ねじ継手、応力集中、材料的要因、物質疲労、塑性変形
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.ボルト穴が必要以上に大きいため、締結力で座金が変形した
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)