事例名称 |
チルトレバーの支点ピンが折損した |
代表図 |
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事例発生場所 |
土木工事現場 |
事例概要 |
ドーザーショベルで、リフトアームを下限位置にして土を削っていたところ、突然チルトレバーの支点ピンが折損した。支点ピンの半径方向にあけられたグリス補給(摺動面に)の開口穴のエッジに、負荷による応力集中でクラックが発生し、繰り返し応力によって破断が進行した。対策として、グリス補給穴の負荷方向に対する角度を45度からほぼ直角とするとともに、穴径を小さくした。 |
事象 |
ドーザショベルで、リフトアームを下限位置にして土を削っていたところ、突然チルトレバーの支点ピンが折損した。 |
経過 |
図2(a)のように、リフトアームを下限位置にして、土を削っていたところ、チルトレバーがリフトアームに回転する時の、支点のリンクピン(支点ピンと称する)が折損した。折損位置は図2(b)に示すようにちょうどグリス開口穴の位置で発生しており、折損断面には応力がかかった方向に特徴的に発生する”ビーチマーク”が観察できた。 |
原因 |
図2(b)に示すように、φ60の支点ピンには、中央にφ8.8ミリのグリス穴と、グリスを摺動面に補給するためのφ8.8ミリの半径方向にあけた穴と、軸まわり止め用のボルト穴と、3つの穴があいている。穴が開くことでピンの剛性が低下し、この開口穴が、負荷を受ける方向に対して、図3(a)に示すように45度の方向に組み立てられ、負荷に対して強度低下を生じさせるとともに、グリス開口穴のエッジに応力が集中しクラックの起点となった。 |
対策 |
図3(b)のように、開口穴を45度ずらして負荷方向に対してほぼ直角方向にするとともに、穴径をφ6ミリと小さくした。 |
知識化 |
最大の負荷がかかる方向と応力集中する部位が一致しないよう注意して設計することが大切である。 |
背景 |
折損の断面(破断面)の観察は、不具合解析に大変有効である。折損モード、負荷方向、切断起点、繰り返し応力の回数など様々なデータを得ることができる。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、不良現象、機械現象、継手、ねじ継手、貫通ねじ穴、形状、角形状、応力集中、割れ発生・成長、繰返し応力、材料的要因、脆性、破断
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情報源 |
創造設計エンジンDB
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マルチメディアファイル |
図2.チルトレバー支点ピンと折損断面
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図3.支点ピンのグリス穴位置の変更
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分野 |
機械
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データ作成者 |
張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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