失敗事例

事例名称 高精度のレーザ光学系で結像ビームが2つに分かれた
代表図
事例概要 高精度のレーザ光学系で、結像ビームが2つに分かれてしまった。平面ミラーをバネで支点のまん中に固定したので、平面ミラーが凹に変形し、変形分が球面収差に影響を及ぼした。対策として、バネを2つ用意して、支点のところを押さえる固定方法に変更した。
事象 高精度のレーザ光学系で、結像ビームが2つに分かれてしまった。
経過 図2のような高精度のレーザ光学系を設計したところ、結像ビームが2つに分かれてしまった。すべての部品の寸法精度は設計値通りであった。そこで、熱変形の可能性ありと考えて、それぞれのレンズを加熱したところ、平面ミラーの加熱で不具合が再現できた。
原因 図3に示すように、平面ミラーをバネで支点のまん中に固定したので、平面ミラーが凹に変形し、変形分が球面収差に影響を及ぼし、結果として結像ビームが2つに分かれた。
対策 図3左のように、バネを2つ用意して、支点のところを押さえる固定方法に変更し、平面ミラーの変形を防止した。
知識化 部品の名称や印象にとらわれると、原因追求の際に判断をあやまる。本事例では、高精度な曲面を有するfθレンズやシリンドリカルレンズの変形に気を使っていて、加工が最も楽な平面ミラーがノーマークであった。
背景 簡単な部品だから大丈夫というような、先入観に基づく予断は禁物である。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、不良現象、機械現象、構造の問題、応力集中、熱、材料的要因、熱変形
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.光学系と結像ビーム詳細
図3.平面ミラーの固定方法
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)