事例名称 |
ねじ仕様変更による潤滑油の使用で締結した樹脂カバーが割れてしまった |
代表図 |
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事例概要 |
樹脂カバーの締結にセルフタッピングねじを用いた。製品の出荷後、カバーのねじ挿入部に割れが発生した。ねじメーカーの変更で、その指定トルクではねじの頭が変形してしまうため、ねじの挿入時に、樹脂用の潤滑油をねじにつけて締結したが、樹脂が潤滑油と反応し脆化したためである。 |
事象 |
樹脂カバーの締結にセルフタッピングねじを用いた。製品の出荷後、カバーのねじ挿入部に割れが発生した。 |
経過 |
樹脂カバーの締結にセルフタッピングねじを用いた。ところがねじメーカーを変更したら、穴径に合わなくなり、より大きな締込トルクが必要になった。しかし、その大きな指定トルクではねじの頭が変形してしまうので、製造部門の判断で樹脂用の潤滑油をねじにつけて締結した。実際、座面の摩擦が小さくなり、その指定トルクで十分な軸力が出せた。ところが製品の出荷後、カバーのねじ挿入部に割れが発見された。 |
原因 |
ねじメーカーの変更で、穴径に合わなくなったにもかかわらず、締込トルクを下げるため、樹脂用の潤滑油をねじにつけて締結した。その潤滑油が樹脂と反応し脆化した。 |
対処 |
追加工で穴径を大きくし、潤滑油のねじへの塗布を止めた。 |
対策 |
樹脂カバーの下穴を、今回のセルフタッピングねじに適合した穴径に設計変更した。 |
知識化 |
変化に対する安易な対応は、不具合を起こす要因の一つである。 |
背景 |
樹脂と油に相性があるように、金属と油にも相性がある。タップ油がないときにマヨネーズを使って鋼が錆びた失敗もある。食塩は禁物である。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、調査・検討の不足、事前検討不足、自作・購入の誤判断、環境変化への対応不良、使用環境変化、人為的条件変化、設計変更、不良現象、機械現象、継手、ねじ継手、予期せぬ使用方法、材料的要因、物質名リスト、機械油、プラスチック、脆性、割れ発生・成長
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情報源 |
創造設計エンジンDB
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マルチメディアファイル |
図2.ねじに油をつけて樹脂カバーを締結した
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分野 |
機械
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データ作成者 |
張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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