失敗事例

事例名称 バイト目によるギア歯元の折損
代表図
事例概要 駆動装置がギア歯元の折損で、突然停止してしまった。図2のように、歯元に加工のバイト目があり、ここに応力が集中したため疲労破壊したものである。対策として、歯元にバイト目を残さないように、図面に仕上げ精度を指定した。
事象 駆動装置が突然停止した。ギアが歯元で折損していた。
経過 歯車による駆動装置を設計・製作した。稼動後しばらくして、この駆動装置が突然停止してしまった。分解調査の結果、ギアが歯元で折損していた。亀裂部には加工のバイト目が発見された。このバイト目が破損断面のビーチマークの起点となっていた。
原因 図2のように、歯元に加工のバイト目があり、ここに応力が集中したため疲労破壊した。
対策 歯元にバイト目を残さないように、図面に仕上げ精度を指定した。
知識化 応力集中は、形状変化部に起こる。本例のように加工のバイト目にも発生するので注意する。なお、歯元に発生した亀裂が軽微な場合は、次の処理をする。つまり、駆動側に発生した場合は、亀裂の進行は少ないので、進展を管理しながら使用する。負荷(従動)側の場合は、亀裂は進行すると考えるべきで、亀裂を補修除去する。
背景 疲労破壊で亀裂が進行するとき、破断面に見られる波うち際のような模様をビーチマークという。ビーチマークを観察することで、荷重の方向や荷重の繰り返し回数が判断できる。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、企画者不注意、誤差設定不適、歯車、製作、ハード製作、製造工程、切削加工、切削痕、不良現象、機械現象、形状、応力集中、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図2.歯元の加工バイト目
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)