失敗事例

事例名称 樹脂製ガイドの上下ガイド間の隙間が狭くなった
代表図
事例概要 試作複写機の試験で、定着ユニットのPBT(ポリ・ブチレン・テレフタレート)樹脂製ガイドの上下ガイド間隙間が狭くなってしまった。ガイドの材質PBT(ナチュラル)の熱膨張係数が大きく、図1に示すように、定着ユニットの加熱ローラからの熱でガイドが膨張し変形したためである。対策として、ガイド材質をPBT(ガラス入り)に変更し、熱膨張係数を1/6にするとともに、耐熱性を向上した。
事象 定着ユニットの樹脂製ガイドで、上下ガイド間の隙間が狭くなった。
経過 試作複写機の定着ユニット(紙上でトナーを熱と圧力で定着するユニット)で、紙をガイドするための上下のガイドをPBT樹脂で成形した。複写機を試験していたところ、図1のように、上下ガイド間の隙間が規定値3.3mmに対して0.9mm狭くなってしまった。
原因 ガイドの材質PBT(ナチュラル)の熱膨張係数が大きく、図1に示すように、定着ユニットの加熱ローラからの熱でガイドが膨張し変形したためである。
対策 ガイド材質をPBT(ガラス入り)に変更し、熱膨張係数を1/6にするとともに、耐熱性を向上した。
知識化 定着ユニットのように、熱の影響が大きい場合は、使用する材料の熱膨張率を考慮する。本事例以外に熱への対応としては、駆動ギアのバックラッシュを大きくしたり、樹脂とアルミニウムなど熱膨張率が異なる材料のねじ止めは、片側を段付きビス+長穴とし熱膨張しやすくして、熱応力の発生を防止したりしている。
背景 設計は、実際の使用条件を考慮して行なう。
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、調査・検討の不足、事前検討不足、予期せぬ使用環境、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、計画・設計、流用設計、製作、ハード製作、製造工程、射出成形、不良現象、熱流体現象、熱、熱膨張、機能不全、ハード不良、機械・装置、動作不能
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図1.定着ユニットでの上下ガイド隙間の変化
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)