事例名称 |
湖上に掛けられた浮橋の沈没 |
代表図 |
|
事例発生日付 |
1990年11月25日 |
事例発生地 |
米国ワシントン州シアトル市 |
事例発生場所 |
ワシントン湖 |
事例概要 |
ワシントン湖上の浮橋 Lacey V. Murrow Floating Bridge が、橋幅拡大工事中に、コンクリートと鉄筋の接合部分の劣化や疲労損傷により崩壊して湖底に沈没した。 |
事象 |
ワシントン州の交通局からの依頼で、A社が橋幅拡大のための工事中に、耐久 50 年の浮橋への湖水流入が増加し、浮橋が崩壊して湖底に沈没した。橋の長さは2020mで、その内850 m が崩壊して沈没した。 |
経過 |
橋幅拡大工事のために橋の両側にある路肩と歩道が取り除かれ、橋の四隅が再建築されていた。浮橋には雨や波による洪水を避けるために、橋上に覆いや汲み出しポンプが使用されていた。耐久 50 年の浮橋に使用されていたコンクリートと鉄筋の繋ぎが年月を経て劣化し、事故 2 日前の嵐により特に橋中央の床版 A-5 にある引張継手部分で横き裂が大幅に拡大したため湖水の流入量が増加。ポンプの汲み出しでは間に合わず沈没した 。 |
原因 |
工事により、フロートに大量の水が溜まり、既存の亀裂が拡大され、また新しい亀裂が生じ、そこから水が浸入した。そして負荷が増大した。ポンプによるくみ出し作業も、残った水がフロートに分散されるという悪影響をおこした。事故の数日前には嵐が発生し、大量の雨が降った。事故は米国の感謝祭の週末で、休日であった。また、耐久 50 年の浮橋に使用されていたコンクリートと鉄筋の繋ぎが年月を経て劣化していた。これは、長年において波しぶきを受けたために起こった疲労による損傷から発生した。 |
対策 |
建設会社の要請により、B社が事故の原因を調査した。 |
知識化 |
橋幅拡大工事を始める前にその工事が周りにどのように影響するかをできる限り予測し、対処方法を考えておくべきだった。 |
背景 |
この橋には建設後20年頃から横亀裂が生じていた。 |
後日談 |
代わりの橋が建設された。また、州政府と工事業者間で訴訟が起こり、業者が州に対して2千万ドル支払うことに同意し、1992年8月に和解した。 |
よもやま話 |
C社によって設計された Lacey V. Murrow Floating Bridge は 1940 年に建設された。沈没するまで、National Register of Historic Places に制定されていた。 |
データベース登録の 動機 |
National Register of Historic Places に制定されていた橋がどうなったのか興味を持つ人々がいるかと思い、崩壊事故を知らせたかった。 |
シナリオ |
主シナリオ
|
企画不良、戦略・企画不良、誤判断、誤った理解、調査・検討の不足、仮想演習不足、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然的条件変化、嵐、使用、保守・修理、破損、破壊・損傷、物質疲労、不良現象、化学現象、接触、異物質接触、コンクリートと鉄筋、割れ発生・成長、水の浸入、不良現象、機械現象、過負荷
|
|
情報源 |
http://www.gerwick.com/document.asp?DocumentID=1345
http://www.wsdot.wa.gov/eesc/environmental/programs/ culres/bridges/bridge_king_002.htm
http://www.sgh.com/technicalpapers/tplace.htm
|
死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
浮橋が沈没した。 |
被害金額 |
69百万ドル |
社会への影響 |
National Register of Historic Places に制定されていた橋が崩壊し、残念に思う住民も存在する。また、新しい橋の建設完了までは、利用者に不便を与えている。 |
備考 |
死者及び負傷者の記述は無いため不明。 |
分野 |
機械
|
データ作成者 |
ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
|