事例名称 |
設置工事中にテレビ塔・アンテナが崩壊 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1982年 |
事例発生地 |
米国 |
事例発生場所 |
テレビ局の敷地 |
事例概要 |
テレビ局に 3 脚のテレビ塔・アンテナを設置中に崩壊した。 |
事象 |
1982 年、テレビ局用に高さ 300m、3 脚のテレビ塔・アンテナが設計され、下から順に、次のパーツを吊り上げながら組み立てて施工されたが、アンテナ部の吊り上げが難航。臨時の取っ手をつけて吊り上げ作業を開始するが、臨時の取手が損壊しテレビ塔は崩壊した。 |
経過 |
施工の現場で、突出したマイクロ波アンテナ部が吊り上げケーブルに引っかかることが判明。施工業者はマイクロ波アンテナ部を一時的に取り外し、アンテナ本体を取り付けた後でマイクロ波アンテナ部を取り付けることを提案するが、設計企業は承認せず、設計の見なおしを拒否。施工業者はやむなく臨時の取っ手をつけて吊り上げ作業を開始するが、臨時の取手が損壊しテレビ塔は崩壊した。 |
原因 |
臨時の取手に使用したボルト素材の強度が規定の半分であった。また、施工業者が算出した臨時の取手に使用されるボルトへの過重負担が誤っており、実際は各ボルトに 7 倍の負担がかかっていた。 |
対策 |
施工の様子がビデオカメラで撮影されていたため、調査団はビデオを元にアンテナの落下地点及び原因を突き止めた。 |
知識化 |
当初の施工案が失敗した時点で施工を中止し、設計企業と施工業者は別の施工及び設計案を計画するべきだった。事故が起こらないように万全を期すのはこれら企業の社会に対する義務であることを忘れてはならない。 |
背景 |
ボルトの製造企業は事故 1 年前に起きた別の事故で、ボルトの性能が問われていた。 |
後日談 |
ボルトの製造企業が起訴されたが、法廷外で和解。 |
当事者ヒアリング |
設計企業内での会話: 「施工業者は施工中にマイクロ波アンテナに触らない、触った場合には保証書は無効とするという記述のある契約書にサインしたんだ。それに、マイクロ波アンテナを解体してから元通りに直すには 25 万ドルもかかるんだぞ。マイクロ波アンテナを解体するのは、絶対にだめだ。」「じゃあ、マイクロ波アンテナが邪魔にならないように、吊り下げに使用する取手を設計し直すというのはどうだろう?」「そんなの、施工業者にさせればいいじゃないか?彼らの専門分野だろう?それに、設計し直すからと言って、組み立てた部分をただで解体してくれるとは思わないね。解体中に事故でもあってみろ、誰が責任を負うんだ?」 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、運営の硬直化、品管制度不備、環境変化への対応不良、使用環境変化、定常操作、誤操作、人為的条件変化、非定常行為、変更、手順変更、不注意、注意・用心不足、企画者不注意、計算間違い、計画・設計、計画不良、不良現象、機械現象、材料的要因、破損、破壊・損傷、材料強度不足、破断
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情報源 |
http://ethics.tamu.edu/ethics/tvtower/tv3.htm
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死者数 |
7 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
テレビ塔及びアンテナが壊れてしまった。 |
備考 |
企業名等は匿名で記載されているため不明。 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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