事例名称 |
無水アンモニア用ホースの腐食 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1979年 |
事例発生地 |
米国カンザス州カンザス市 |
事例発生場所 |
農地 |
事例概要 |
無水アンモニア散布機材の準備中にホースが破裂 |
事象 |
無水アンモニアは農業で肥料として使用されるが、有毒な蒸気を発散するため、特殊な機材が使用される。この機材用の AAH#1 を補強材に使用したホースが腐食し、有毒なアンモニアが漏れる事件が相次ぐ。 |
経過 |
1940 年代から無水アンモニアは農業で肥料として使用されてきたが、散布機材用のホースの補強材として使用されてきた高価なステンレススチールに代わる素材として、ホース製造企業が AAH#1 に着目。大学の研究によれば AAH#1 の使用によりホースの傷みが激しくなる可能性が非常に高いため、ホースの強度を高める設計と使用者への注意を推奨する一方、ホース製造企業自身や第三者の検査では全産業規格を充足。1977 年から製造・販売されたが、ホースが腐食し、有毒なアンモニアが漏れる事件が相次ぐ。 |
原因 |
1977 年にホースの産業規格には AAH#1 を補強材として使用することは考慮されておらず、検査自体が適切であったとは言い難い。事実、1977 年に販売されてから、事故の数は増え続けた。事故の 50% は使用中にホースを折り曲げる、冬季に野外に放置するなどの取扱いが不適切であったとされるが、これらの取扱いは他の AAH#1 を含まないホースでは事故には繋がらなかった。 |
対策 |
1979 年に事故の実態調査を実施。1982 年、ホースに「使用期限 30 ヶ月」というラベルが貼られる。1983 年に無水アンモニア及び他のアンモニア用ホースの製造を中止。1988 年に過去に製造・販売されたホースは使用期限が切れているとし、返品を条件に返金を公表。 |
知識化 |
補強するために使用した材料がそれ自身を腐らせる原因になることになった皮肉な失敗例。 使用する前に良い結果だけでなく悪い結果ももたらす事がありえる事も考慮し検査する必要がある。 |
背景 |
無水アンモニアを農地に散布する際には、専用機器を使用し、地面に機器の切先を差し込んでアンモニアを地下に注入する。 |
シナリオ |
主シナリオ
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企画不良、組織構成不良、企画不良、戦略・企画不良、試験計画不良、計画・設計、計画不良、不良現象、化学現象、物質間反応、無水アンモニア、AAH_No1、破損、減肉、腐食、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長、二次災害、損壊、漏洩、汚染
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情報源 |
http://ethics.tamu.edu/ethics/xyz/xyz1.htm
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
2 |
被害金額 |
$1525000 |
社会への影響 |
1984 年以降、AAH#1 は補強材に使用されなくなり、ステンレススチールの使用が業界の標準となった。 |
備考 |
企業名等は匿名で記載されているため不明、負傷者数は明記されていないが多数あったと思われる。 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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