事例名称 |
A社製タイヤのリコール |
代表図 |
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事例発生日付 |
2001年08月09日 |
事例発生地 |
米国イリノイ州デカタ市 |
事例発生場所 |
A社及び B社 |
事例概要 |
米国高速道路安全委員会から指摘を受け、A社及び B社はタイヤをリコールした。 |
事象 |
米国高速道路安全委員会が自動車製造企業であるB社及びタイヤ製造企業であるA社に対し、タイヤの破裂によるB社製エクスプローラ車種の事故発生率が高いことを指摘。B社がタイヤ事故のデータを分析したところ、エクスプローラ用のA社製タイヤについて、タイヤに使用されている繊維が剥げる確率が高いこと、及び特定の工場で製造されたタイヤについて特に確率が高いことが判明。エクスプローラ車種では 1 つでもタイヤが破裂すると、車体が横倒しとなり、乗車名が死亡する可能性が高い。委員会の指摘から 4 ヶ月後にB社及びA社はタイヤの撤回・回収を決定。 |
経過 |
2001 年 5 月に米国高速道路安全委員会は B社及び A社に対してB社製エクスプローラ車種でタイヤの欠陥事故についての情報を要求。B社が 7 月にタイヤについてのデータを取得して分析したところ、15 インチの ATX 及び ATXII モデル、Wilderness AT タイヤに繊維が剥げるという欠陥事故が多いこと、また、イリノイ州デカタ市にある工場で製造されたタイヤに欠陥が多いことが判明。通常他のタイヤでは 100 万タイヤについて 0~2.3 タイヤという欠陥率であるのに対し、15 インチのATX 及び ATXII モデルにおける欠陥率は 100 万タイヤについて 241タイヤであった。8 月 9 日にタイヤのリコールが決定。 |
原因 |
タイヤが欠陥製品であった。 |
対策 |
A社はタイヤをリコールして、交換した。 |
知識化 |
特定の工場で製造されたタイヤが特に繊維が剥げる確率が高かったという事実をふまえ全ての工場で同じクオリティーの物が製造できる品質管理体制が必要である。 |
背景 |
1995 年から 1997 年にかけて、B社は Goodyear 社製の同一仕様のタイヤを 200 万個購入し、内 50 万個はエクスプローラ車に搭載されたが、欠陥事故は報告されていない。B社製エクスプローラ車種は他社製の SUV と比較して、タイヤの破裂によって横転する確率が高く、また、タイヤは不可思議な磨り減り方をする。 |
後日談 |
【追補;2010年3月】 この事故を契機とし、米国高速道路交通安全局は自動車メーカーに対し、2003年11月以降に生産する車への空気圧モニター装置(Tire Pressure Monitoring System)の設置義務付けが始まった.。欧州では2012年を目処に義務付ける方針である。国際基準化の動きもあり日本では2009年より義務化の検討が始まった。安全面だけでなく燃費面などの費用対効果も含めた検証が目標となっている。 |
よもやま話 |
【追補;2010年3月】 製造側からの視点で見るとこの事例はアメリカで親会社と子会社が責任の所在を巡って激しい争いを演じたものである。親会社であるB社は責任の所在割合と費用負担を一切認めようとしなかった。日本での親会社と子会社の関係ではあまり発生しない。お互い切っても切れない協力関係でつながっているからである。ただしこれは日本国内に限られているものと考えるべきである。日本から海外に進出する企業はこういった考え方の違いも予めリスク管理に含めておく必要がある。 |
当事者ヒアリング |
A氏 「当社のタイヤの設計及び製造過程には何ら問題は認められない。事故の大半が南部の各州で発生していることから見て、高温、高速での走行によるタイヤの圧力が事故の一因となっている」 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、伝承無視、誤判断、狭い視野、発見遅れ、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然的条件変化、経時変化、組織運営不良、運営の硬直化、品管制度不備、非定常行為、無為、製作、ハード製作、製造工程、品質不良、機能不全、諸元未達、破損、減肉、摩耗、破損、破壊・損傷、材料強度不足、破断、二次災害、損壊
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情報源 |
http://www.car-accidents.com/pages/9_firestone/firestone_overview.html http://www.nhtsa.dot.gov/cars/problems/recalls/Index.cfm http://www.nhtsa.dot.gov/hot/Firestone/Index.html http://auto2.ascii24.com/auto24/issue/2002/0603/02nak_sh9999_02.html http://auto2.ascii24.com/auto24/issue/2002/0214/05nec_sh9999_05.html http://auto2.ascii24.com/auto24/issue/2000/1113/38nec_si1113_02.html?kr1 http://auto2.ascii24.com/auto24/issue/2001/0522/18nco_si0522_05.html http://auto2.ascii24.com/auto24/issue/2001/0628/60nco_si0628_01.html http://dow.ecri.co.jp/b_english/20020213_a.shtml http://www.ford.co.jp/company/foj/release/0038/index3.htm http://www2.bridgestone.co.jp/hq/c_info/c_news/release/ford/010531.html http://www2.bridgestone.co.jp/hq/c_info/c_news/release/ford/010723.html http://www.jl.kagawa-u.ac.jp/~kinosita/zemi01/recall04.html http://www.gelmans.com/Focus/23/8/238tires.pdf http://www1.ocn.ne.jp/~isao2000/sub02.htm http://www1.ocn.ne.jp/~h-tire/kouzou.html http://www.ford.co.jp/company/foj/release/0045/index3.htm http://auto.ascii24.com/auto24/issue/2001/0125/18nco_sh0125_01.html?kr04
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死者数 |
148 |
負傷者数 |
500 |
全経済損失 |
B社製車両の売れ行きが 6% 落ち込んだ。 |
備考 |
負傷者数は 500 人以上。 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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