事例名称 |
貯蔵タンク崩壊事故 |
代表図 |
|
事例発生日付 |
1952年02月 |
事例発生場所 |
原油貯蔵タンク |
事例概要 |
1952年2月、高さ16m直径42mの円筒形原油貯蔵タンクは、水を使っての耐久試験実施中に崩壊した。この試験の前にも耐久試験が行われたが、0.6mの亀裂が発見され、試験は中止されている。このタンクは溶接加工で組み立てられたもので、著しい気温の低下により延性が失われ、脆性破壊が生じた。また、溶接の浸透が十分ではなかった。 |
事象 |
1952年2月、高さ16m直径42mの円筒形原油貯蔵タンクは、水を使っての耐久試験実施中に崩壊した。このタンクはこの試験の前にも耐久試験が行われたが、0.6mの亀裂が発見され、試験は中止されている。このタンクは溶接加工で組み立てられたものである。 |
経過 |
1952年2月、高さ16m直径42mの円筒形原油貯蔵タンクでは、水を使って構造形態を確認するための耐久試験を実施した。これは二度目の耐久試験で、一度めは亀裂が発見されたため、中止された。水が使用されたのは、水は油より重く、タンクの壁にかかる応力がより大きく、また漏れても安全である。この時の水温は摂氏4度で、気温は約0度であった。試験中にタンクが崩壊した。 |
原因 |
急激な気温の低下により鋼板が延性を失った。また溶接加工が十分に浸透していないと、その周辺の金属が延性を失い、残留溶接応力により脆性破壊が生じる。このような要因が存在するところに、大量の水の応力が加わり、破裂したものとみられている。 |
知識化 |
金属の成分が環境の変化によりどのように変化するかを事前に調査する必要がある。また、水という安全な物質を使用しての試験を行ったために、環境汚染を避けることができた。 |
背景 |
前回の耐久試験で亀裂が発見されているので、その場所だけ修理するのではなく、他の場所にも問題がないかをよく検査していれば、この事故は予見できた可能性がある。しかし、水を使用しての試験中であったため、原油による環境汚染が防げた。 |
後日談 |
この事故の一ヶ月後、この近辺の直径45.7mのガソリン貯蔵タンクも耐久試験中に失敗している。その時の気温は摂氏9度で水温は4度であった。 |
データベース登録の 動機 |
タンクが崩壊したという失敗談ではあるが、それが水を使った試験中であったため、環境汚染にいたらなかったというポジティブな面を備えたケースであるため。 |
シナリオ |
主シナリオ
|
誤判断、状況に対する誤判断、調査・検討の不足、仮想演習不足、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然的条件変化、天候変化、製作、ハード製作、継ぎ目、破損、劣化、脆性、低温脆性、不良現象、機械現象、継手、溶接部位、溶込み不良、不良現象、機械現象、過負荷、応力集中、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長、破損、破壊・損傷、延性、破損、破壊・損傷、材料強度不足、破断
|
|
情報源 |
http://www.mae.carleton.ca/Courses/86412/
|
死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
分野 |
機械 |
データ作成者 |
タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
|