事例名称 |
デュプレシス橋崩壊事故 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1951年01月 |
事例発生地 |
ケベック、トロワ・リビエール |
事例発生場所 |
高速道路の橋 |
事例概要 |
ケベック、トロワ・リビエールの高速道路の橋、デュプレシス橋は、鉄板を溶接で接合した橋桁を用いた橋で、1947年に開通された。1950年の冬に溶接箇所付近から脆性亀裂が発見された。これは鉄の性質と低温によるもので、大部分の構造部分が取り替えられ、10日にわたって検査が行われたが、再度開通後2週間で崩れてしまった(図2)。 |
事象 |
ケベック、トロワ・リビエールの高速道路の橋、デュプレシス橋には、鉄板を溶接で接合した橋桁が用いられていた。1947年に開通されたが、1950年の冬に溶接箇所付近から脆性亀裂が発見された。大掛かりな改修工事が行われ、その後10日にわたって検査が行われた。しかし再度開通後2週間で崩れてしまった。その時の気温は摂氏ー30度だった。 |
経過 |
この橋は1947年に開通された。1950年の冬、溶接による接合部分からの脆性亀裂が2箇所発見され、緊急に修理が行われた。多くの構造部分が取り替えられ、リベット接合でテンションジョイントを強化する等の改築が行われた。1951年1月に10日間にわたる検査が行われ、異常が見つからなかった。しかし、その2週間後に橋が崩れた。 |
原因 |
この橋は溶接で接合された鋼板からつくられているが、この鋼板の製造の際、脱酸工程が十分に行われなかったため、鉄の固体の中に空気穴ができ、鉄がもろくなってしまった。修理は行われたが、鉄の質の悪さを補うことはできなかった。さらに、気温が摂氏ー30度という低温のために鉄が延性を失ってしまったことも要因である。 |
知識化 |
製品の作成には材料の質を考慮する必要がある。低質を他の要素で補おうとしても、補え切れない場合がある。問題は根本から解決すべきである。 |
背景 |
大掛かりな改善が行われ、10日にも及ぶ検査で問題が見つからなかったため、予見できなかったようであるが、改善の際に構造の大部分を取り替えたのは、材料に問題があると判明していたからだと思われ、その材料の問題(質の悪さ)が全域にわたっている可能性があることは、わかっていたはずである。 |
よもやま話 |
1940年代から50年代には、脆性破壊の問題が多発していた。 |
データベース登録の 動機 |
修理を重ね、10日間の検査で異常が発見されなかった橋が2週間で崩れたという、表面上だけの検査が役に立たなかった例を紹介したかった。 |
シナリオ |
主シナリオ
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誤判断、状況に対する誤判断、調査・検討の不足、仮想演習不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、製作、ハード製作、製造工程、継ぎ目、不良現象、機械現象、継手、溶接部位、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長、手順、修理、手順、試験、鋼材、製作、ハード製作、製造工程、脱酸素化不充分、破損、破壊・損傷、材料強度不足、破断、破損、劣化、脆性、低温脆性
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死者数 |
4 |
負傷者数 |
3 |
マルチメディアファイル |
図2.デュプレス橋崩壊事故
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備考 |
死者数、負傷者数修正(2021-08-26) |
分野 |
機械 |
データ作成者 |
タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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