事例名称 |
飛行機の降着装置アクチュエータービームの疲労 |
代表図 |
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事例発生地 |
アメリカ |
事例発生場所 |
アメリカ空軍基地の飛行機検査機関 |
事例概要 |
アメリカ空軍機の定期検査で、着陸用ギア収縮シリンダーに隣接するフランジにひび割れが数台の飛行機から発見された。臨界傷サイズよりわずかに小さいだけだった。軽量化のために設計を改善したために、フランジの一部にストレスが集中し、疲労割れが生じた。 |
事象 |
アメリカ空軍機の定期検査で、数機の飛行機の着陸用ギア収縮シリンダーに隣接するフランジにひび割れがあることが発見された。このひび割れの付近では角の交差があり、これは最初の設計では存在しなかったが、軽量をはかるための設計の改定により生じた。主要着陸用ギアのナセルリングはカドミウムめっきのD6ACスチールでできており、飛行に不可欠な機能の重要な要素である。 |
経過 |
設計を変更したために生じた角の交差にストレスが集中し、またフランジのサポートが十分ではなく、硬度も低かった。そのため着陸用ギアのアクチュエータからの集中した負荷がかかり、角の交差付近で曲げモーメントが最大になった。 |
原因 |
軽量化のためにオリジナルの設計が改定され、その結果角の交差が生じ、ストレスが集中した。設計そのものは統計的には適切なものであったが、強度なストレスの集中により、設計された寿命以前に疲労によるひび割れが生じた。設計者間のコミュニケーションが十分ではなかったと見られる。また軽量化の対策時に細かい部分の配慮が欠けていた。 |
対処 |
ひび割れのある部分を十分に取り除いた。また、浸透液を使って磁気物質検査を行ってひび割れの程度を調べた。 |
対策 |
ジオメトリの改善により、ストレスの集中を和らげた。サポート部品の構成に17-7PHステンレススチールを用いて硬度を向上した。締りばめファスナーを使用して、ジョイントの硬度を向上した。 |
知識化 |
改善策として行われた設計の改定が、設計者間のコミュニケーション不足とまたその改善が及ぼす影響を細かい点まで考慮しないと、逆効果を及ぼす。 |
背景 |
設計を変更する際に、従来の設計を行った設計者と詳しい情報交換をしていれば、この欠陥の発生は防ぐことができた可能性はある。 |
データベース登録の 動機 |
細かい点への配慮が欠けたために、改善のための策が逆効果を及ぼすことを忘れてはならないため。 |
シナリオ |
主シナリオ
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手順の不遵守、連絡不足、誤判断、状況に対する誤判断、調査・検討の不足、仮想演習不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、環境変化への対応不良、使用環境変化、定常操作、誤操作、人為的条件変化、非定常行為、変更、設計変更、誤対応行為、連絡不備、フランジ、破損、劣化、脆性、破損、破壊・損傷、材料強度不足、破断、破損、破壊・損傷、物質疲労、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長、不良現象、機械現象、過負荷、応力集中、想定外負荷、不良現象、機械現象、形状、角形状
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情報源 |
http://www.mae.carleton.ca/Courses/86412
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
不良になった部品 |
全経済損失 |
問題の分析、再設計、部品の取替え、再度のメンテにかかる人件費および材料・部品費用 |
備考 |
情報源である上記のリンクは現在表示されていない。 |
分野 |
機械 |
データ作成者 |
タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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