事例名称 |
脆いバルブの素材で人工心臓弁が破損 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1979年 |
事例発生地 |
世界各地 |
事例発生場所 |
人工心臓 |
事例概要 |
人工心臓弁が破損し、患者が相次いで死亡した。 |
事象 |
人工心臓に使用されていたバルブ (C/C バルブ) が破損し、患者が相次いで死亡した。 |
経過 |
1975年にA研究所がカーボンコートグラファイト製の人工心臓弁を導入し、1987年までに180000人の患者の人工心臓に使用された。同社は1979年に人工心臓弁のディスクに縦にある開口を大きく設計して導入し、1979年から1986年までに82000人の患者の人工心臓に使用されたが、支柱の破損による患者の死亡が数多く発生した。 |
原因 |
バルブの素材が脆く、設計に欠陥があった。 |
対処 |
1986年に問題のあったバルブの製造を中止した。 |
背景 |
現在最も頻繁に使用されている人工心臓弁はバイリーフレットと呼ばれる種の人工機械弁で、熱分解カーボンコートグラファイトでできている。この素材が選ばれたのは、生物的適合性が良好であるためで、他の素材と異なり、血栓などの血液への影響が最小である。但し材質は比較的もろい。人工心臓弁が故障すると、一時間以内に死を招く可能性がある。移植した人工心臓弁を取り出して定期的に検査をすることもできないので、製品の安全性を確保するには最悪の状況下での使用を想定し、使用前の耐力検査を重ねなければならない。 |
後日談 |
A研究所及び親会社であるB社は、死亡した患者に対し総額$10750000の賠償金を支払った。また、$9250000かけて生存している患者の検診を行なった。患者がバルブの摘出・交換を要求すると、1バルブにつき$64を無料で行わなくてはならない。100件の訴訟が未解決である。 |
シナリオ |
主シナリオ
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誤判断、狭い視野、規格不良、調査・検討の不足、仮想演習不足、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、計画・設計、計画不良、不良現象、機械現象、材料的要因、カーボンコートグラファイト、人工心臓弁、製作、ハード製作、製造工程、品質不良、破損、劣化、脆性、破損、破壊・損傷、材料強度不足、破断、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長、破壊、身体的被害、死亡
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情報源 |
http://www.me.utexas.edu/~uer/heartvalves/effects.html
http://www.bae.ncsu.edu/bae/research/blanchard/www/465/ textbook/cardio/projects/group4/valve.html
http://www.psu.edu/ur/2000/heartvalveshmc.html
http://www.cnn.com/HEALTH/9508/heart_valve/
http://www.freeflights.net/walravens/news_1990.htm
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死者数 |
150 |
負傷者数 |
0 |
全経済損失 |
$20000000 |
備考 |
正確な死者数は不明。 |
分野 |
機械 |
データ作成者 |
ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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