失敗事例

事例名称 海底パイプラインからオイルが流出した。
代表図
事例発生日付 1997年09月26日
事例発生地 アメリカ、カリフォルニア州サンタバーバラ郡
事例発生場所 海底パイプライン
事例概要 サンタバーバラ郡の太平洋沖合で海底パイプラインからオイルが流出、付近に生息する生態系に影響を及ぼしたが、好天候に恵まれ、清掃活動は72時間以内に終了。オイルは、2つのパイプを接続している縁にできた割れ目から漏れ出した。
事象 1997年9月、サンタバーバラ郡の太平洋沖合でオイルポンプがあるカリフォルニア州ポイント・アルゲリョとロンポック油田を結ぶ海底パイプラインからオイルが流出、少なくとも1羽の鳥が死亡した。流出したのは1万から2万ガロンの重度原油で、付近に生息する生態系への影響が懸念された。しかし、穏やかな天候に恵まれ、清掃活動は72時間以内に終了、長期に渡る環境汚染の心配はなさそうである。
経過 オイル漏れは、中央カリフォルニア沿岸より0.5マイルの太平洋上で発見された。沿岸警備隊によると、当初予想された量よりも少ない1万から2万ガロンの重度原油がパイプラインから流出。原油はパイプラインを通る前に水と混合されているため、当初流出したオイル量の予想が様々であり、パイプラインに入っている最大オイル量の121,000ガロンまでの可能性が報告された。オイルはパイプとパイプを接続している縁部分にできた割れ目から流出。パイプは2ヶ月前の7月に点検されており、その時点では良好であった。パイプラインは、オイル流出による圧力低下を察知するアラームが鳴り遮断された。ロスアンジェルス北沿岸は、98,400エーカーからなるヴァンデンバーグ米国空軍基地との35マイルに渡る境界線につながっており、オイルは基地に向かって流れた。軍関係者は基地内に生息する野生生物と環境への影響を心配している。海岸付近は、西洋白千鳥、アジサシ、茶ペリカン、そしてラッコなどの絶滅危惧種の生息地である。オイルが付着した9羽の鳥のうち1羽の死亡が確認されており、約6羽が油膜の中で発見された。微風、穏やかな海と日差しの天候に恵まれ、初期の清掃活動はスムーズに進行。海岸では35人が作業にあたり、約7500ガロンのオイルを回収するが、その後5フィートの波が掬い取ったオイルの容器を沿岸に引き戻した。
原因 オイルは、パイプとパイプを接続している縁部分にできた割れ目から漏れ出した。ひび割れが起こった原因は不明。
対処 オイルの広がりを抑えるためにオイル漏れ専用の清掃用ボートが出動。魚釣り用の容器が清掃用用具としてサンタバーバラから持ち込まれた。オイルが岸まで流れてきた際に海草に吸収されないよう波が打ち寄せられる地域から海草の除去作業が行われた。
背景 パイプラインのひび割れによるオイル流出事故は世界各地で頻繁に起こっている。今事故を引き起こしたパイプラインも2ヶ月前に点検されていたとは言え、例外ではなかった。
よもやま話 サンタバーバラ海峡では1969年、約400万ガロンの原油による最大のオイル流出事故が起こっており、サンタバーバラ郡はここ何十年も沖合いでのオイル事故に気を配っていた。
データベース登録の
動機
オイル漏れが頻繁に起こっているとは言え、らっこなどの絶滅危惧種の生息地域では特に気をつけてほしいところだ。
シナリオ
主シナリオ 未知、異常事象発生、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、パイプライン、製作、ハード製作、製造工程、継ぎ目、破損、破壊・損傷、割れ発生・成長、水の浸入、腐食、原油、二次災害、損壊、漏洩、汚染
情報源 http://www.cnn.com/US/9709/30/calif.oil.spill/index.html
http://www.cnn.com/EARTH/9709/29/oil.spill/
死者数 0
負傷者数 0
分野 機械
データ作成者 ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)