事例名称 |
フィデックス貨物機着陸失敗、全員無事脱出 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年07月31日 |
事例発生地 |
アメリカ、ニュージャージ州ニューアーク |
事例発生場所 |
ニューアーク国際空港 |
事例概要 |
有害物質を積載していたフィデラルエクスプレスの貨物航空機MD-11がニューアーク国際空港で着陸に失敗し、滑走路に衝突、転覆し炎上した。中にいた乗客、乗務員5人は全員操縦室の窓から脱出、地上にいた者にも死傷者はでなかった。事故の原因は、航空機を操縦していたフィデラルエクスプレスの操縦士がニューアーク国際空港の滑走路の長さを誤算、硬着陸から回復するチャンスを逃したためだと言うことがその後の調査で判明した。 |
事象 |
有害物質を積んだフィデラルエクスプレスの貨物航空機MD-11がニューアーク国際空港で着陸の際滑走路に衝突、転覆し炎上した。中にいた乗客、乗務員5人は全員操縦室の窓から脱出。軽傷を負い病院に運ばれたが、墜落から2時間以内に退院した。地上にいた者にも死傷者はでなかった。ニューアーク空港は一時閉鎖されたが、事故発生から約7時間後に出発便が再開した。この航空機はアラスカのアンカレッジ空港が始発。3人の乗客は、フィデックスの従業員2人と他の航空会社の従業員1人だった。 |
経過 |
航空機MD-11は、午前1時35分に下降しながら滑走路に衝突、右側に傾いて転覆した。乗っていた乗務員2人と乗客3人は炎上する炎の中、操縦室の窓によじ登り脱出。その後救助されたが、全員機体から歩いて避難した。5人は軽傷を負い病院に運ばれ、全員墜落から2時間以内に退院した。地上にいた者にも負傷者はでなかった。夜が白み始めても転覆して脚が真上を向いた航空機は炎上し続けた。この航空機は可燃性のエアゾル剤などの有害物質を積載していた。ニューアーク空港は消火活動にあたり一時閉鎖されたが、午前8時に出発便が再開された。この航空貨物機は、アラスカのアンカレッジ空港始発で、3人の乗客は、フィデックスの従業員2人と他の航空会社の従業員1人だった。 |
原因 |
事故の原因は、航空機を操縦していたフィデラルエクスプレスの操縦士、A氏がニューアーク国際空港の滑走路の長さを誤算し、硬着陸から回復するチャンスを逃したためだと言うことが調査の結果分かった。操縦士は、航空機が最初に滑走路にぶつかり跳ね上がった際の弾みで離陸体制に流れを変え、着陸をやり直せばよかったのだが、逆に機体の鼻を地面に向けて右に傾けてしまった。滑走路との衝突により機体と右翼が接続されている部分にひびが入り、そこから燃料が漏れて火災につながった。また、事故当時の天候は曇り空で視界が悪く、忙しい運送会社の過密スケジュールに押されていたなども事故に起因しているようである。 |
対策 |
事故を起こした航空機が可燃性液体であるエアゾル剤などの危険物質を積載していることがフィデックスからニューアーク空港の当事故の指揮者に伝えられたのは、事故後4時間以上も経っていたことがその後の調査で明らかになり、フィデックスはコンピュータを通して航空機の積荷目録が即座に分かる新しい危険物質トラッキングシステムを開発中である。 |
知識化 |
危険物質を扱う会社は、十分な安全対策が必要である。 |
背景 |
予見可能性は不明。 |
後日談 |
A氏は、現在もフィデラルエクスプレスで雇用されているが、航空機の操縦はしていない。 |
当事者ヒアリング |
”この墜落で死亡者がでなかったのは驚きだ”と事故を目撃した空港のスポークスマンは目を細めた。 |
データベース登録の 動機 |
当事故で幸い死者は出ていないが、この事例も安全対策の問題が背後にある。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、危険物取扱い対策、組織運営不良、運営の硬直化、報告制度不備、材料的要因、脆性、衝撃、破断、発火
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情報源 |
http://www.cnn.com/US/9707/31/fedex.update/index.html
http://www.airdisaster.com/news/0700/26/news.shtml
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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