失敗事例

事例名称 化学製品包装工場爆発、3人の消防士死去
代表図
事例発生日付 1997年05月08日
事例発生地 アメリカ、アーカンサス州ウエストへレナ
事例発生場所 BPS会社の化学包装工場
事例概要 アーカンサス州ウエストへレナ郊外にあるBPS会社の化学製品包装工場で爆発を伴う火災が発生。工場内の様子を見に行った3人の消防士が爆発に遭遇し、破壊されたブロック塀の下敷きになって死亡、16人の消防士を含む17人が負傷した。火災はアジンホスメチルなどの殺虫剤が収納されているバッグが引火し爆発を引き起こしたとされている。
事象 アーカンサス州ウエストへレナ郊外にあるBPS会社の化学製品包装工場で爆発を伴う火災が発生。工場内の様子を見に行った3人の消防士が爆発に遭遇し、破壊されたブロック塀の下敷きになって死亡、16人の消防士を含む17人が負傷した。毒性の強い黒い煙がミシシッピー川沿いの小さな町を覆い、何百人もの人々が家や会社から離れた。
経過 殺虫剤の再包装を行っている工場で火災が発生し、4人の消防士が火災の原因を探りに建物の中に入ったときに爆発が発生、崩れてきたブロック塀の下敷きになった。救助隊が駆けつけた際、4人のうち3人はすでに死亡しており、1人が救助されたが重傷を負った。火災が起こった際、消防士の他に建物の中には50人の従業員がいた。爆発は午後1時過ぎに発生、その後非常に毒性の強い有毒ガスが大量に放たれた。全焼した建物は2年前に建設され、主に製品の収納場所として使用されていた。環境技術省によると、今回の事故に関わっている化学物質は、アジンホスメチル, メソミル、そしてチオフェンなど殺虫剤として使用されている化学物質ですべて毒性である。消火にあたった消防士と地元住人に解毒剤であるアトロピンの注射がうたれた。有毒ガスによりヘレナ地方病院のヘレナ地方メディカルセンターの44人の患者の一部と150人の従業員は、コミュニティーカレッジに避難。残りの患者は、30分離れた他の病院に移された。18000人の人口を持つヘレナと西へレナの住人は、家の中で窓とドアを閉め、外出しないよう忠告された。避難した住人や患者は、爆発が起こってから24時間以内に自宅や病院に戻り、火は3日後の正午過ぎにようやく鎮火した。
原因 火災はアジンホスメチルなどの殺虫剤が収納されているバッグがくすぶっていたのが目撃されていることから、これらのバッグが引火し爆発を引き起こしたとされているが、工場を含む付近の建物が全焼しているため、それ以上の原因は不明。
対処 雨や消火に使用された水が毒性物質を含んでミシシッピー川に流れ込まないよう、封じ込め作戦用の堤防がサンドバックで建物の周りに作られた。
知識化 危険物資を扱う会社は、職員が潜在的に危険な状態にさらされないよう、起こりうる事故の包括的な判断と対策が必要である。
背景 予見可能性は不明。
当事者ヒアリング BPS会社近くで働いていた会社員によると、白い煙を見て爆発音を聞いた。その後炎が上がった。炎は150フィートくらいと非常に高く上がり、煙が黒く変わった。炎で鼻が燃えてしまいそうだった。アンモニアのようないやな匂いがして、息苦しかった。建物の外に落雷があったようだった。強い悪臭が漂っていた。
データベース登録の
動機
工場長の話では、当事故に関わっている化学物質は可燃性ではないということだが、常に安全性を軽視しないよう認識してもらいたいので。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、危険物取扱い対策、調査・検討の不足、事前検討不足、安全対策不足、不良現象、化学現象、発火、有毒ガス、物質間反応、爆発
情報源 http://www.cnn.com/US/9705/08/chem.explosion/index.html
http://www.nfpa.org/PDF/WestHelena.PDF?src=nfpa
死者数 3
負傷者数 17
分野 機械
データ作成者 ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)