事例名称 |
大型タンカーの座礁で原油15万トンが流出 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1996年02月15日 |
事例発生地 |
英国南西部 、ウェールズ |
事例発生場所 |
ミルフォードヘイブン港外 |
事例概要 |
リベリア籍の大型タンカー、A号が、英国南西部 、ウェールズのミルフォードヘイブン港外で座礁し、積載していた全原油147,000トンを流出した。安い労働力を採用したタンカーの乗組員の中に英語を話す者がおらず、救助隊との通信ができなかったことが要因している。 |
事象 |
北海原油を積載した、リベリア籍の大型タンカー、A号が、英国南西部 、ウェールズのミルフォードヘイブン港外で座礁した。座礁後、直ちに救助作業が開始されたが、荒天に災いされ、救助作業は難航し、漂流、座礁を繰り返した。2月21日深夜にようやく本船を港内の桟橋に着桟させ、船内に残った原油を陸揚げすることができた。 最初の座礁で約7万トンの原油が、更にその後の救助作業の間に77,000トンの原油が流出し、国立公園内を含む約200kmの海岸線が汚染され、自然環境に深刻な打撃を与えた。 |
経過 |
スペイン産、ノルウエー所有、キプロス籍、グラスゴー管理下、フランス認可、ロシアの乗組員、そしてリベリア国旗をつけたタンカー、A号がミルフォード・ヘブン港外の岩礁に衝突し、積載していた約半分の7万トンの軽質原油がアイルランドの海に流出した。その後救助隊の引率で真中に立ちはだかっている岩礁を西側から回避しようとしたところ、東に流れる強い波に押されてもう一度岩礁に衝突、147,000トンの全原油が流出した。 |
原因 |
運営コストを下げるため、安い労働力を採用したタンカーの乗組員の中に英語を話す者がおらず、救助隊との通信ができなかった。 |
対策 |
乗組員が国際言語である英語を話せるようになる訓練が検討されている。 |
知識化 |
コストをケチると他で皺寄せがおきる。 |
背景 |
不明。 |
後日談 |
ウェールズ国は、英国政府が当事故の原油清掃作業を故意に遅延させウェールズ国を差別したとして強く主張。即時の清掃活動は地元のボランティアが行った。また、Aは、イギリス、スペインなど合計8カ国が関わっており、どの国が事故責任を負うか決断が難航した。 |
データベース登録の 動機 |
コストと比例して乗組員の通信能力が下がっていると言う海洋運搬における状況が認識される例であるため。 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、過去情報不足、調査・検討の不足、仮想演習不足、材料的要因、脆性、衝撃、破断、原油、漏洩
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情報源 |
http://www.american.edu/ted/WALESOIL.HTM
http://ens.lycos.com/ens/jan99/1999L-01-18-04.html
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
2448匹の鳥が死亡(1996年3月統計) |
全経済損失 |
664万ドル、ミルフォードヘイブン港が英国政府に要求している賠償金額 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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