事例名称 |
建設中のケベック橋が崩壊し75人の作業員が死亡。 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1907年08月29日 |
事例発生地 |
カナダ、ケベック |
事例発生場所 |
ケベック橋 |
事例概要 |
カナダのケベック市に建設中であったケベック橋が、長さの延長における圧力増加により崩壊し、建設作業に当たっていた作業員75人が死亡した。 |
事象 |
カナダのケベック市から数マイルの場所に建設中であったケベック橋の1部が崩壊し、約15秒と言う速さでローレンス川に崩れ落ちた。この事故で、橋の建設作業に当たっていた作業員75人が死亡。ケベック橋は完成すれば世界最長の橋(当時)となる予定だった。 |
経過 |
建設工事初頭の約8年間は、橋梁建設で名の知れた米国のエンジニア、クーパー氏を中心として工事が行われていた。クーパーは、陸続きで橋を架ける目的で、初期に設計された橋の長さ1600フィートを1800フィートに変更した。工事はフェニックス橋梁会社が請け負うことになるが、建設に十分な資金がなかったため、クーパーの経歴を信用して、変更における圧力増加の十分な研究をしないまま工事が進められた。1903年、カナダ政府から670万ドルのケベック橋の建設費用を獲得し、やっと工事が軌道にのるが、橋にかかる圧力は人々が想像していたよりもはるかに大きく、クーパー氏がやっと危険を察知した矢先の1907年、ケベック橋の南方定着部の圧縮弦材が切れて、南アンカーと片持部、そして中央スパンの約19,000トンがローレンス川に崩れ落ちた。そしてこの事故で、作業にあたっていた86人の作業員が川に落ち、うち75人が死亡した。 |
原因 |
橋の長さの延長における圧力増加により、南方定着部の圧縮弦材の2箇所が、その格子造りになっている部分の破裂、または格子造りに使用されているラティス(鋲)が剪断されたことにより崩壊した。 |
対策 |
建築におけるどんな小さな変更であっても、それによって予想外の結果がもたらされることを認識し、検査、研究を進める必要がある。 |
知識化 |
すばらしい経歴を持ったエンジニアでも、実働調査なしでは成功できない。また、すばらしい建築物は人が精魂を込めないと完成されない。 |
背景 |
設計変更における圧力増加による誤差の兆候は何度も報告されており、この事故は明らかに予見できた。 |
後日談 |
数年の事故調査と研究の後、1911年セントロ-レンス橋梁会社により工事再開となり、前回の教訓から水面よりジャッキで吊り上げる工法が導入されたが、1916年9月、水面より4mつりあげられた鋼製トラスがジャッキの破損で水没し、11人の犠牲をだした。 |
データベース登録の 動機 |
世界最長の橋の建設において、エンジニアの過大評価による多くの犠牲者があった背景を知ってほしかった。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、企画者不注意、計算間違い、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、環境変化への対応不良、使用環境変化、人為的条件変化、設計変更、建設的要因、不安定、崩壊、材料的要因、材料強度不足、破断、不良現象、機械現象、過負荷、応力集中、割れ発生・成長、機械的連鎖反応
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情報源 |
http://www.civeng.carleton.ca/ECL/reports/ECL270/Introduction.html
http://www.uh.edu/engines/epi220.htm
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死者数 |
75 |
負傷者数 |
11 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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