失敗事例

事例名称 癌病院の不始末で廃品業者がセシウムの入った缶を開放
代表図
事例発生日付 1987年09月21日
事例発生地 ブラジルのゴイアニア市
事例発生場所 ゴミ廃棄場
事例概要 廃品回収業者がセシウム-137 の入った缶を空けたため放射性の塵埃が放出した。
事象 放射線療法に使用されていた医療機器を処分することなく、癌病院が閉鎖された。機材は窓やドアの無い建物に放置され、2 年後に廃品回収業者がセシウム-137 の入った缶を発見。業者が缶を開けたところ、鈍く青色に光る塵埃が放出された。
経過 癌病院は 1980 年初頭に閉鎖されたが、3 人の医師は放射線療法に使用されていた医療機器を処分することなく去ったため、機材は窓やドアの無い建物に放置され、2 年後に廃品回収業者がセシウム-137 の入った缶を発見し、放射性物質とは知らずにこじ空けたところ、鈍く青色に光る塵埃が放出された。放射性物質による汚染は市全域に広がり、住民が皮膚の火傷、汚染物質を吸い込む又は飲み込むなど、人体自体が放射性物質と化す重度の放射能汚染に遭った。
原因 閉鎖された癌病院の放射線医療機器が適切な廃棄処分を行われなかった。
対処 汚染が発生してから 1 週間後に政府機関に通知された。
対策 事件の重大さに気づいたブラジル政府は International Atomic Energy Commission に医師の派遣を要請した。34000 人以上を検査したが、派遣された医師も被害に遭った。
知識化 癌治療で人々の命を救う行いをする病院が閉鎖するに伴い備品を処理せず放置していたことが原因で死傷者をだすはめになった。
背景 ブラジルでは放射性物質の取扱いについて規制が無かった。
後日談 ゴイアニア市は現在、観光地となっている。白血病などの実質被害が明らかになるには 10 年かかるため、実際の被害範囲が判明するのは未だ先となるだろう。
当事者ヒアリング 6 才の子供が青白く光るのが面白くて、セシウム-137 を手足に塗り、サンドイッチを食べたため、成人の致死量の 6 倍の放射能に蝕まれた。
シナリオ
主シナリオ 組織運営不良、運営の硬直化、審査手順不備、材料的要因、放射性物質、漏洩、汚染
情報源 http://www.nbc-med.org/SiteContent/MedRef/OnlineRef/CaseStudies/csgoiania.html
死者数 4
負傷者数 16
社会への影響 放射性物質による汚染が市全域に及んだ。
分野 機械
データ作成者 ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)