失敗事例

事例名称 炭坑の縦坑への流水で19人の作業員が死亡
代表図
事例発生日付 2000年11月13日
事例発生地 中国四川郡 Liangshan
事例発生場所 Dafa 炭坑
事例概要 流水によって縦坑に水が溢れて埋まった。
事象 Provincial Labor Reform Bureau によって運営され、囚人が坑夫として強制労働を強いられていた Dafa 炭坑で流水によって縦坑に水が溢れ、19 人の炭坑夫が死亡した。
経過 通気の確保、ガス、粉塵、自然発火防止という安全対策上、重要な問題が適切に管理されていない。炭坑を運営する礦務局では、「炭坑は罪人を更生・教育する場所」であるとし、地方の企業に炭坑を賃貸し、囚人の労働を売却する形で、炭坑は個人企業に全面運営させていた。坑夫として働く囚人は裁判の必要のない 3 年未満の拘束刑を執行され、労働による再教育を課せられているが、政府はこれらの礦務システムを刑務所とは考慮しておらず、人権及び規律は政府によって管理されていない。こういった状況の下で 24 - 27 人の坑夫が縦坑から石炭を掘り出す作業をしていたところ、4000 - 5000m^3 の水が流入して、縦坑を埋め始めた。坑夫 数名が流水を逃れ、縦坑から脱出したが、19 人が逃げ切れずに水に呑まれ溺死した。
原因 安全対策が不適当であった。中国には南部地域だけでも数千の小規模炭坑があり、個人によって運営されているものもあるが、何れも安全対策よりも生産性を重視する傾向にあり、安全対策が最小限又は皆無である。
対処 ポンプを使用して縦坑から水を汲み出しながら、生存者の救出作業にあたった。
対策 政府は炭坑の安全な運営を監督するため、8 グループの監査役員によって安全性についての監査が終了するまで、小規模の炭坑が閉鎖された。
知識化 囚人という立場から強制労働を強いられているため、不服があっても辞めることはできない。こういった状況は安全技術水準自体を下げる原因となる。
背景 中国は世界でも最大の石炭生産国だが、安全対策が杜撰なことで知られている。2000 年には公式に 5000 人が事故で死亡したと報告されている。各地方の小規模な炭坑では囚人が坑夫として強制労働を強いられていたり、無許可で労働している者もいる。
後日談 2000 年から 2002 年初頭にかけて閉鎖された炭坑は 3000 以上にも上ったが、その多くは同一の経営者によって運営が再開されている。政府役人と炭坑経営者の癒着も確認されており、問題が確認されても金銭でうやむやに隠蔽することが常というのが現状である。
当事者ヒアリング 礦務局の役人 「我々は炭坑の管理には関与しない。我々は単に囚人の労働を売却しているだけだ。」
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、仮想演習不足、安全対策不足、価値観不良、異文化、規範の違い、流体浸入、構造の問題
情報源 http://www.laogai.org/mine.html
http://asia.cnn.com/2002/WORLD/asiapcf/east/01/16/
china.safety2/index.html
http://www.laogai.org/dafamine.html
http://www.jcoal.or.jp/jcoal/jp/topics.nsf/
20d09526596ab4bb4925697b004dde70/
ab965f31a1e6768e4925699b0049bfeb?OpenDocument
死者数 19
負傷者数 0
分野 機械
データ作成者 ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)