失敗事例

事例名称 薬品の取扱いミスで肥料工場が爆発し29名が死亡
代表図
事例発生日付 2001年09月21日
事例発生地 フランス南西部、トゥールーズ市
事例発生場所 グラン・パロイーズ・AZF化学肥料工場
事例概要 フランス南西部トゥールーズ市郊外のAZF(Azote de France) 化学肥料工場で大きな爆発があり、29名が死亡、2000人以上が負傷した。爆発の原因は、工場に保存されていた硝酸アンモニウムの可能性が疑われている。
事象 フランス南部トゥールーズ市郊外のAZF(Azote de France) 化学肥料工場で大きな爆発があり、29名が死亡、2,442人が負傷した。爆風により工場から3km以上離れた場所のガラスが割れ、4000棟以上の家屋が被害を受けたほか、赤い煙の刺激性物質が周囲に流出したが毒性はない模様。460人の従業員が働く工場は全壊し、事故現場から周辺30キロの範囲にまで被害が及んでおり、爆発の大きさを物語る。
経過 爆発が起こったのは、化学肥料生産に使用される約300トンの硝酸アンモニウムが貯蔵されている倉庫で、爆発が発生した午前10時15分、約350人の従業員が工場内にいたが、死亡した29名のうち7名は工場の外にいた模様。また工場付近の多数の家屋と建築物、車などが破壊された。AZF工場は、危険性の高い工場施設に指定されているフランスの1250工場のうちの1つであった。
原因 爆発の原因は、事故の他、化学肥料の製造において混合作業で薬品の取扱いを誤った、 または爆発の中心が工場内の硝酸アンモニウム(300トン)を貯蔵した倉庫とみられており、物質の取り扱いを誤ったと言う推測がなされているが、はっきりした原因は判明していない。
対処 100人以上の消防士が救命活動にあたった。
対策 フランス環境省は同年11月に当事故における公式報告書を発表した。報告書によると、硝酸アンモニウムの危険性、および適用する各種の安全ルールについて説明を加え、今後は爆発の危険性に応じて化学物質を分類すべきだと結論づけている。また同書では、EUのセベソII指令の規制対象とされる危険な工業施設に適用される各種の規則についても見直しを行っている。また、爆発事故を発生させたAZF社の施設について同報告書は、一般住宅の建設が時間を追うごとに、いかに工場に次第に隣接する形で許可されてきたかについて言及した上で、都市地域に近い危険な主要工業施設の規制について、複数の勧告を提示している。
知識化 都市地域に隣接した危険物資の取り扱い施設において、厳重な安全対策を施さなければならない。
背景 不明。
データベース登録の
動機
危険性の高い工業施設が都市地域に隣接されている環境事情、及びその施設が起こした事故の影響がいかに大きいかを伝えるため。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、仮想演習不足、危険物取扱い対策、不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、硝酸アンモニウム、物質間反応、爆発、建設
情報源 http://www.firehouse.com/news/2001/9/21_APfrance.html
http://www.uneptie.org/pc/apell/disasters/toulouse/home.html
死者数 29
負傷者数 2442
物的被害 工場全壊、4000棟以上の家屋、80校以上の学校、工場付近の車、電線などが被害を受けた。
社会への影響 当事故の爆発の影響が、EU全体に広がっている。同様な事故のリスク評価をEU全体で実施するよう、欧州議会が要請し、欧州委員会がその計画を立案しているからだ。人口集中地域付近へのリスクの高い工場の設置には、これまで以上に厳しいEU規定が設けられる可能性がある。
備考 WLP関連教材
・プラント機器と安全-概論/プラント機器と安全概論
分野 機械
データ作成者 ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)