失敗事例

事例名称 ニューヨーク・ツインタワービルの崩壊
代表図
事例発生日付 2001年09月11日
事例発生地 米国ニューヨーク州マンハッタン市
事例発生場所 World Trade Center
事例概要 航空機が World Trade Center ビルに衝突後、ビルが崩壊した。
事象 American Airlines Flight 11 が 110 階建ての World Trade Center (通称「ツインタワー」) の North Tower に衝突後、United Airlines Flight 175 が South Tower に衝突した。約 1 時間後に South Tower が崩壊し、その約 30 分後に North Tower が崩壊した。
経過 マサチューセッツ州ボストンからカリフォルニア州ロサンジェルスに向けて離陸した American Airlines Flight 11 が午前 8 時 40 分に、United Airlines Flight 175 が午前 8 時 43 分にハイジャックされた。午前 8 時 48分に American Airlines Flight 11 が North Tower に衝突し、午前 9 時 3 分に United Airlines Flight 175 が South Tower に衝突した。約 30 分後に救助隊がビルに到着し、救助活動を開始するが、午前 10 時 5 分に South Tower の航空機が衝突した位置から上部が東側に傾きながら、他の階層が真下に向かって崩れ落ち、午前 10 時 29 分に North Tower が真下に向かって崩れ落ちた。
原因 両タワービル外壁には、表面をアルミニウム合金仕上げした幅 18 3/4 インチの鋼鉄製中空チューブを22インチ間隔で配置され、ビル中央部には、幅 39 インチの柱が中核として 32 本張り巡らされており、約 40,000 平方フィートの各階のビルの重力を支えていた。各階のフロアは深さ 33 インチの鉄製トラス構造であった。ビル自体の構造は約 1 時間耐えたことから見ても、航空機の衝突による程度の被害に対する耐久性を備えた構造であったが、航空機の衝突が原因で発生した火災による熱が摂氏 800 度を上回り、構造に使用されていた金属の弾性係数が低下し、たわみ量が増加した。航空機の衝突による衝撃と構造中に使用されていた金属の耐久性が落ちたことが原因で、トラス構造や柱が重量を支えられず、階層が崩壊し、それに伴う勢いと重量で崩壊した階層の下にある階層が崩れ落ちた。
対処 ビルはマンハッタン市の中央にあったため、マンハッタンに出入りする列車及び道路を封鎖した。付近の会社に勤務する会社員及び住人は避難した。救助隊、消防隊、軍隊、ボランティアなどが協力して、瓦礫の中から生存者を救出した。
対策 航空機のハイジャックを防止するべく、空港の警備システムを強化した。
知識化 石壁は耐火性は優れているが、衝撃などに対する耐久性に欠ける。中核柱や構造について、耐熱用によりよい対策を考案すべき。
背景 ハイジャックにはナイフが使用された。アメリカ内の空港では、これまでも警備システムの改善が勧告されていたが、改善されていなかった。警備は警備会社に下請けされており、警備員は時給 6 - 8 ドルの低賃金で雇用されている。警備員の講習も手順を説明する内容のビデオを見せるだけなど、杜撰である。
後日談 ツインタワーの他、他の航空機 2 機もハイジャックされ、1 機は国防省に衝突、もう 1 機はペンシルベニア州の空き地に墜落した。ハイジャック犯がアフガニスタンを拠点とするテロリスト グループ「Al-Qaeda」と関連があり、同グループはアメリカに対し攻撃的な発言や行動が多く、過去にもアメリカ大使館や軍艦を攻撃した疑いがあったため、アメリカはこの事件をアメリカに対する宣戦布告と認識し、アフガニスタンとの戦争に突入した。
よもやま話 417m と 415m のツインタワー ビルは 1966 年 8 月 5 日から Minoru Yamasaki, Emery Roth and Sons consulting の設計によって建築された。
当事者ヒアリング Matthew Cornelous 「突然物凄い衝突音がして、ビルが波に揺られているみたいに揺れ始めた。」
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、安全対策不足、調査・検討の不足、仮想演習不足、調査・検討の不足、事前検討不足、予期せぬ使用環境、材料強度不足、想定外負荷、高温、割れ発生・成長、部材溶解、機械的連鎖反応
情報源 http://news.bbc.co.uk/hi/english/sci/tech/newsid_1858000/1858491.stm
http://www.civil.usyd.edu.au/wtc.htm
http://news.bbc.co.uk/hi/english/world/americas/newsid_1620000/1620835.stm
http://www.cnn.com/2001/CAREER/trends/09/11/witnesses/index.html
死者数 3000
負傷者数 600
物的被害 World Trade Center が崩壊した。
被害金額 $800000000
社会への影響 ビル内には為替商取引企業が入居していたため、為替取引が停止された。
備考 正確な死者数及び負傷者数は不明。航空機の乗員を含む。被害金額はビルの建築費。
分野 機械
データ作成者 ケイコオオクシ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)