事例名称 |
空港でトンネル崩壊し建設作業員が死亡。 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2000年11月01日 |
事例発生地 |
アメリカ、ヴァージニア州、ワシントン・ダレス国際空港 |
事例発生場所 |
ワシントン・ダレス国際空港内のトンネル |
事例概要 |
ワシントン近郊のダレス空港内で建設中の歩行者用トンネルが崩れ、50歳の建設作業員がトンネル内に閉じ込められた。原因は土壌の衰退による可能性が高い。 |
事象 |
ワシントン近郊、ヴァージニア州に位置するダレス空港内で建設中の歩行者用トンネルが崩れ、50歳の建設作業員、A氏がトンネル内に閉じ込められた。現場は引き続きトンネルが崩れてくる危険性があり、救助作業が難航。A氏は事後約1週間後に死亡して発見された。 |
経過 |
事故のあったトンネルは、34億ドルのダレス空港拡張計画の一部で、空港の主要ターミナルとコンコースBを結ぶムービングウォークの導入が計画されている。事故当時、ネブラスカ州オマハを本拠地とするK建設会社の4人の建設作業員が、長さ770フィートのトンネル内のおよそ3分の2奥に入った地下約30フィートの場所で作業をしていた。午後7時頃、トンネルの一部が突然崩れ、他の作業員は無事逃れたが、50歳の男性A氏がトンネル内に閉じ込められた。 |
原因 |
バージニア州の調査員によると、トンネル内の土壌が頽廃(たいは)していて、事故の前週に3箇所の土壌が衰退しているのが発見されている。 衰退の範囲は、10月24日に1立方ヤード、25日に4立方ヤード、そして事故の前日の31日に5立方ヤードと増加していた。契約によると、K社は、同トンネル建設において、新しいオーストリアのトンネル建設方法NATM(New Austrian Tunnelling Method)を導入していて、NATMの専門技術者はコンクリートの裏打ち工事完了後、最低4週間は現場で立ち会う必要性があった。しかし、NATM技術者は、10月は一度も現場にいなかった。さらに土壌の衰退も知らされていなかった。 |
対処 |
1995年に起きたオクラホマ市の爆弾事件時に救助活動を行った救助隊を含む約200人が、特別な装置を用いてA氏の捜索活動にあたった。 |
知識化 |
新しい建設法を導入したときは、特に安全性を重視する。また、契約上の決まりをきちんと遂行しないと、契約違反で罰金を課せられ、高いものにつく。 |
背景 |
事故の前週にトンネル内の土壌が廃頽していることが発見されていたことから、当事故は予見できた可能性が高い。 |
後日談 |
事故発生の翌年4月30日、ヴァージニア州は、事故のあったトンネルの建設工事を請け負っていた、K建設会社とP会社を州の安全規定違反で召喚、K社に対して77,000ドル、P社に対して32,000ドルの罰金を提示した。 |
データベース登録の 動機 |
非常に危険性の高いトンネル工事において、専門家が1ヶ月以上も現場を留守にしていた例を紹介したかった。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、安全対策不足、無知、伝承無視、発見遅れ、手順の不遵守、手順無視、操作手順無視、不安定、崩壊、材料強度不足、破断、建設
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情報源 |
http://news.airwise.com/stories/2000/11/973251609.html
http://icivilengineer.com/Failure_Watch/2000_Tunnel/
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死者数 |
1 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
34億ドルの拡張計画の一部 |
全経済損失 |
K社に対して77,000ドル、P社に対して32,000ドルの罰金(決定ではない。) |
分野 |
機械
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データ作成者 |
ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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