失敗事例

事例名称 欠陥エアガンで少年が植物状態になる。
代表図
事例発生日付 1999年05月24日
事例発生地 アメリカ、ペンシルバニア州ニューホープ
事例発生場所 自宅の裏庭
事例概要 16歳の青年と友人が欠陥があったD社のエアガンで撃ち合いの遊びをしていたとき、エアガンの中に隠れていた弾が青年の頭に当たり、青年が脳に重度の損傷を負った。
事象 16歳の青年と友人がD社の856モデルのパワーラインエアガンで撃ち合いの遊びをしていたとき、エアガンの中に隠れていた弾が青年の頭に当たり、青年が脳に重度の損傷を負った。
経過 ペンシルバニア州に住むT君は、16回目の誕生日の2日後、両親からプレゼントにもらったD社が販売している856モデルのパワーラインで友人と撃ち合いの遊びをしていた。青年たちは、エアガンの引き金を引いたとき、空気のみが発砲されるようになっていたことから、エアガンの弾は空になったと思った。そして、T君の友人が至近距離でT君の頭に銃を向け引き金を引いたとき、銃の中に隠れていた弾が発砲されT君の頭に当たった。T君は重傷を負い現在はほぼ植物状態になっている。
原因 D社は、当事故以前に欠陥のあったエアガンの回収を行っていたらしいが、消費者に欠陥の通知をしていなかったと共に、回収もれのエアガンに弾が隠れて入っていた可能性が疑われている。
対策 米国消費者製品安全委員会によると、戸外用遊具を生産販売しているD製造会社が生産販売しているパワーライン空気銃のモデル880と856に、中に弾が隠れて残るという欠陥があり、空気銃750万個の回収が求められている。この欠陥を修正するには、エアガン1個につき2ドルの費用を要する。
知識化 欠陥が発見された時点で、原因を完全に追求、解明しないとまた必ず煙があがる。
背景 外から見たエアガンの中は空でもBB弾がエアガンの弾倉に残っている欠陥は当事故以前から発見されていて、中は空だと信じている児童が危険な遊びをすることは予測できる。
後日談 事故後、T君の遺族はD社に対して、賠償訴訟を起こしていたが、2001年2月、D社が約1800万ドルをT君の遺族に支払うことで裁判は終結した。
よもやま話 2001年10月30日、米国消費者製品安全委員会は、D製造会社に対して管理上に問題があるとし告訴に踏み切った。戸外用製品を生産販売しているD社のパワーライン空気銃のモデル880とモデル856に欠陥が発見され、パワーライン空気銃750万個の回収と、その空気銃の使用が死亡や負傷につながる重大な危険性が伴っていることを消費者に通知することを求められている。D社は、1972年9月以来、スポーツショップ、デパート、インターネットを通して販売されているこれらのBBガンの完全な回収作業を拒否していた。調べによると、これらのエアガンの使用により、これまでに少なくとも15人が死亡、171人が重傷を負っている。死傷した80%は16歳以下の未成年者である。これらの児童はエアガンで頭や胸を撃たれて死亡、また心臓、脊髄、頭にBB弾が当たり、麻痺や脳損傷などの重傷を負った。
データベース登録の
動機
未成年者に人気のあるエアガンの事故は、度々報告されているが、その死亡事故及び、エアガンを生産販売している会社を認識してほしかった。
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、事前検討不足、安全対策不足、無知、知識不足、過去情報不足、教育・訓練不足、不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、構造の問題、手順、修理
情報源 http://www.cpsc.gov/cpscpub/prerel/prhtml02/02029.html
http://www.klinespecter.com/news/mahoney/mahoneypi06062001.html
死者数 1
負傷者数 0
全経済損失 D社がT君の遺族に支払った賠償金、約1800万ドル。
分野 機械
データ作成者 ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)