事例名称 |
濃霧のため空港で旅客機とセスナ機が激突 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2001年10月08日 |
事例発生地 |
イタリア、ミラノ |
事例発生場所 |
ミラノのリナーテ国際空港 |
事例概要 |
2001年10月8日、スカンジナビア航空機SK686便はイタリアのミラノからコペンハーゲンに向けて出発の際、前方の滑走路を誤って横切ろうとしたセスナ機と激突し、コントロールを失って手荷物保管倉庫に激突し炎上した(図1)。濃霧のためスカンジナビア航空機は直前までセスナ機が見えず、またセスナ機は間違った所在地を管理官に告げていた。 |
事象 |
2001年10月8日、午前7時35分発予定のスカンジナビア航空機SK686便はイタリアのミラノからコペンハーゲンに向けて出発しようと滑走路を走り出した。その時前方の滑走路を誤って横切ろうとしたドイツのセスナ機を発見し、それを避けようとしたがわずかに浮上した際、セスナ機と激突。スカンジナビア航空機はコントロールを失って手荷物保管倉庫に衝突し、炎上した。倉庫の柱が倒され、屋根が落ちて、倉庫は崩壊。スカンジナビア航空機には104名の乗客と6名の乗務員が乗っていた。セスナ機には乗務員2名と乗客2名。倉庫にいた4名も死亡。 |
経過 |
スカンジナビア航空機は、リナーテ航空の滑走路に出て、コペンハーゲンへと飛び立とうとした。濃霧のため直前まで見えなかったが、そこには、ドイツのセスナ機が誤って滑走路を横切ろうとしていた。スカンジナビア航空機は既にかなりのスピード(110から120ノットと推測)を出しており、避けようとして引き起こし操作を行ったが、わずかに浮上したところでセスナ機に激突。コントロールを失い、空港の手荷物保管倉庫に激突し、炎上した。手荷物管理倉庫は屋根が落ち、崩壊。 |
原因 |
ドイツ人操縦士2名が操縦するセスナ機は、濃霧のため視界不良で、誤った所在地を管理官に告げ、使用中の滑走路に迷い込んだ。この空港には飛行機の所在地を確認するための地上レーダーが備えてあったが、その三日前から整備のため運用を停止していた。 |
対策 |
整備の為に地上レーダーの運用を停止するときはその期間飛行の停止も行うべきである。 |
知識化 |
指示を受けたからといって、安全を確保せずに実施すると、他人の過失のために事故に巻き込まれることがある。また、はっきりとした情報無しで、周囲の環境をよく観察せずに行動にでると、大きな事故を招く。毎日の様に実施している作業でも、毎回安全確認が必要である。 |
背景 |
セスナ機が見えないほどの霧の中で、しかも通常使用されている地上レーダーが停止されていたという条件下での離陸は、危険が伴っていたと思われる。 |
よもやま話 |
このスカンジナビア航空機は1991年に製造され、その年の9月にメーカーから受領された。1991年12月27日にストックホルム近辺で、翼上の氷がエンジンに入ったためスカンジナビア航空機が墜落したが、乗客および乗務員合計129名全員が助かり、クリスマスの奇跡と呼ばれた。 |
データベース登録の 動機 |
悪条件が重なって起こった悲惨な事故であるため。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、環境調査不足、安全対策不足、不注意、注意・用心不足、作業のなれ、環境変化への対応不良、使用環境変化、自然的条件変化、天候変化、機械的連鎖反応、衝撃、破断、発火、崩壊
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情報源 |
http://www.cnn.com/2001/WORLD/europe/10/08/italy.plane/
http://www2.justnet.ne.jp/~satoshitoyama/cadb/wadr /accident/20011008a.htm
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死者数 |
118 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
スカンジナビア航空機MD-87、セスナ・サイテーション2、手荷物管理倉庫 |
社会への影響 |
多くの人命が失われ、その家族や友人の人生に影響を及ぼした。また、リナーテ空港から発着する予定であった人々の旅程にも支障が生じた。 |
マルチメディアファイル |
図1.悪天候と人の過失からの飛行機事故
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分野 |
機械
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データ作成者 |
タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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