失敗事例

事例名称 データ入力ミスで旅客機が山に激突
代表図
事例発生日付 1995年12月20日
事例発生地 コロンビア、カリ近辺
事例発生場所 カリ近辺の山
事例概要 A航空695便の機長はカリへ向かう途中、遅れを取り戻すために空港への進入コースを変更した。コンピュータのソフトに「ROZO」と入力すべきだったが「R」のみを入力した。コンピュータのソフトはそれを同じく「R」で始まるボゴタの入力コード「ROMEO」と解釈し、機長はそれに気づかずコースの変更をコンピュータにまかせきりであった。飛行機はコースをそれて旋回し、カリの近辺の山に激突して墜落した。
事象 マイアミ空港出発後、コロンビアのカリに向かうA航空機の機長は、管制官から最短ルートでも着陸できることを知らされ、遅れを取り戻すためにそのコースをえらんだが、機内に取り付けられているコンピュータに目的地を入力する際、「ROZO」と入力すべきだったが「R」のみを入力した。コンピュータのソフトはそれを同じく「R」で始まるボゴタの入力コード「ROMEO」と解釈し、飛行機はコースをそれて旋回し、カリの近辺の山に激突して墜落した。
経過 マイアミ空港を出発したA航空機ボーイング757は、コロンビアのカリに向かっていたが、カリへの進入の際、管制官から最短のルート(ロソ・ワン進入ルート)でも着陸できると知らされ、予定時間より遅れていたため、その最短ルートを利用することにした。通常のカリへの進入ルートではカリ(アルフォンゾ・ボニラ・アラゴン)空港の北方約57kmにあるツルアVORからカリ空港の南方約14kmにあるカリVORに向かい、北に旋回してカリ空港に着陸することになっていたが、ロソ・ワン進入ルートでは、ツルアVORからカリ空港の北方約17kmにあるロソVORを通過して、そのままカリ空港に着陸することができた。この飛行機はツルアVORからロソ・ワン進入ルートに入ろうとしたが、既にツルアVORを通過していたので、直接ロソVORに直行することを決めた。その際機長はFMS(飛行制御装置)に変更後のルートのウェイポイントであるロソVOR(ROZO)を入力するのに「R」のみを入力。ところがFMSはより使用頻度の高い「ROMEO」と解釈し、コースを大きく左に取り、アンデス山脈に迷い込んだ。コースがそれたことに気づいた機長は、右旋回しコースを修正するよう副操縦士に指示した。1分後にGPWSが鳴り、機首上げを行ったが、機体は上昇できず、山頂をかすめながら墜落した。
原因 機長は遅れを取り戻すため、近道を試みた。また、入力を正しく行わず、「R」のみを入力した。さらにコースの変更を飛行制御装置にまかせきりにし、飛行機の位置を確認せずに降下した。GPWSが鳴った際には冷静さを失い、フライトスポイラーを閉じること無く機首上げを行った。また、飛行制御装置は、不完全な入力に対し、確認を行わず、頻度の高いコースを勝手に選択するようにプログラムされていた。
対策 機長の緊急事態における状況判断の指導を強化するとともに飛行制御装置に不完全な入力に対しては頻度の高いコースを勝手に選択させるプログラムを改善するべきである。
知識化 状況を確認せずに近道を試みると、落とし穴に落ちることがある。便利さのみを考えてプログラムすると、安全性に欠けることがある。コンピュータのみに頼らず、人間の知識や注意力を使って安全を確保する必要がある。
後日談 A航空は機上のコンピュータにも問題があったとして、被害者へ支払われた損害賠償の一部をJ社およびH社が支払うべきだとし、訴訟を起こした。その結果、A航空の責任が75%、J社が17%、H社が8%という判決が下された。
データベース登録の
動機
飛行機の操縦の経験が豊富にあり、慣れているはずの機長が、コンピュータの入力ミスのために大惨事を引き起こしてしまった。コンピュータに頼りがちなこの社会に、コンピューターに頼りすぎたために起こった失敗を知らせる必要があると思った。
シナリオ
主シナリオ 誤判断、誤った理解、概念立案ミス、不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、衝撃、破断
情報源 http://www.system-concepts.com/articles/bug.html
http://www.findarticles.com/cf_0/PI/search.jhtml?
key=American+Airline+Crush+in+1995
http://www.findarticles.com/cf_0/m0CWU/2000_June_15/62746806/p1
/article.jhtml?term=American+Airline+Crush+in+1995
www2.justnet.ne.jp/~satoshitoyama/cadb/wadr/accident/19951220a.htm
死者数 159
負傷者数 4
物的被害 A航空機1機
被害金額 米ドル3億ドル(被害者の家族への損害賠償金)
社会への影響 飛行機での旅に対する人々の不安が増した。
備考 死亡者は160名と告げている記事もある。
分野 機械
データ作成者 タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)