事例名称 |
濃霧による自動車の大事故 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1976年12月10日 |
事例発生地 |
イギリス |
事例発生場所 |
車両専用道路M5上 |
事例概要 |
霧の深い朝、セントラルコンピュータより道路際の制限速度表示を変更しようとしたが、入力に誤りが生じ、34台の車両を巻き込む大事故が起こった。機器が古いために入力確認ができず、作業員も複数の業務を同時に行っていた。 |
事象 |
霧が深いために車両専用道路M5の制限速度の変更が必要となった。オペレータが入力を行ったが入力の確認ができず、何を入力したのかが分からないままコンピュータは道路際の表示を変更してしまった。その表示に従った車が次々と事故に巻き込まれた。 |
経過 |
イギリスの高速道路の40%がモーターウェイ・コミュニケーション・システムで制御されており、警察からの制御関連情報を受け、セントラルコンピュータからリアルタイムで道路沿の車線指示や制限速度表示などを変更している。この日は霧が深いため、制限速度変更の指示がでたが、コンピュータへの入力の確認ができず、どんな入力が行われたかが不明のまま、道路の表示が変更された。その後34台の車を巻き込む事故が発生した。 |
原因 |
霧のために制限速度表示を変更する指示がでた。セントラルコンピュータへの入力コードはエラーが起こりやすいもので、変更は「X」、変更する表示板の指定番号(例:300)、道路M5の場合は「R」、霧の状況「1」と、「XR300/1」を入力しなければならなかったが、テレタイプは非常に古く、入力表示が読めなくなっていたので正しく入力されたかどうか読み取れず、フィードバックもなかった。そのままリアルタイムで道路上の表示が変更された。オペレータの作業は過負荷で、同時に無線及び電話での交通の対応もしなければならなかった。 |
知識化 |
交通標識に使用するシステム等、人命に影響するシステムは常に正しく起動していることを確認する必要がある。また、オペレータに作業に適切な環境を与えるのは非常に重要である。正しく操作できない機器を改善せずに使い続けるのは危険である。 |
背景 |
オペレータの作業は過負荷で、同時に無線及び電話での交通の対応もしなければならなかった状態で、入力の確認ができずに直接道路上に表示されるのは、非常に危険であり、このような失敗が起こるのは予見できたはずである。 |
データベース登録の 動機 |
コンピュータの入力は一見単純な作業であるが、小さなミスが人命に関わる大事故を引き起こすことがある。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、安全対策不足、不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、組織運営不良、管理不良、構成員疲労、衝撃、破断、機械的連鎖反応
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情報源 |
http://www.cs.umd.edu/class/fall1999/cmsc434-0201/b-psycho/tsld007.htm
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死者数 |
3 |
負傷者数 |
11 |
物的被害 |
車34台 |
社会への影響 |
車両専用道路M5は6.5時間閉鎖。 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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