失敗事例

事例名称 コンクリート基礎の崩壊による海上石油プラットフォームの沈下
代表図
事例発生日付 1991年08月23日
事例発生地 ノルウェー、スタバンジャー市Gandsfjorden
事例発生場所 シュレイプナルAプラットフォーム
事例概要 シュレイプナル A海上石油プラットフォームのセルのコンクリート壁に不履行が生じ、コンクリート基礎が崩壊した。
事象 1991年、シュレイプナルAプラットフォームのデッキ交換の準備をしている最中、プラットフォームが突然沈下した。シュレイプナルAプラットフォームは、北海でオイルとガスを生産していて、海底82mの海域に位置する。この海上石油プラットフォームは、コンクリート重力基礎構造によりデッキを支える最初のモデルで、24個のコンクリートセルを持ち、合計16000m2の広さからなる。24個のセルのうち4個のセルが延長してプラットフォームのデッキを支えているシャフトにつながっている。
経過 シュレイプナルAプラットフォームのデッキ交換の準備におけるバラスト制御作業を行っていた最中、海中のコンクリート重力基礎構造で漏出が起こり、プラットフォームが沈下、デッキを支持するために設計されたコンクリート重力基礎が崩壊した。先端のデッキは57,000トンの重さがあり、作業員約200人分の収容施設と40,000トンのドリル機材を支えている。プラットフォームが沈下したとき、マグニチュード3と同様の地震が起こり、深さ220mの海底に多量の漂積物を残した。
原因 調査の結果、コンクリート構造の有限要素(法)解析で重大な過失があった、また非常に重要な領域における強化部分で固定が不十分であったと言う双方の原因が混合して、コンクリート壁に不履行が生じ、ひび割れと漏出につながったことが報告された。
対処 プラットフォームを所有するノルウェーのStatoil石油会社は、事後すぐにSINTEFと言う捜査グループに原因究明の捜査を依頼した。そして、実物の半分の大きさの試験用モデルセルが造られて、ひび割れの試験が行われた。
対策 プラットフォームは、以前と同じ概念ではあるが、弱い部分が補強されて再建された。
知識化 ハードウェアが急速に発展したおかげで、複雑な問題を高い信頼度で解析することが可能になり、正しい工学的判断を下すことができるようになった。解析の信頼性にはふたつの部分があり、a) 数学モデルの信頼性(これはVALIDATION に関連)、b) 数学モデルの厳密解に関連した近似解の信頼性(これはVERIFICATION である)、調査の結果、コンクリート構造の数学モデルは正しいものであり、当事故の原因はVERIFICATION に含まれることが判明。
背景 不明。
後日談 1993年4月30日、再建されたシュレイプナルA2プラットフォームのデッキ交換に成功した。
データベース登録の
動機
海上に浮かぶコンクリート構造物が崩壊した例を紹介したかった。
シナリオ
主シナリオ 不注意、注意・用心不足、企画者不注意、誤差設定不適、調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、建設的要因、崩壊、材料強度不足、破断、割れ発生・成長、手順、試験
情報源 http://www.sintef.no/bygg/sement/sleipner.html
死者数 0
負傷者数 0
全経済損失 再建に要した費用など7億ドルを損失
分野 機械
データ作成者 ユリエローディ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)