事例名称 |
安全管理不備による化学工場での有毒物質流出 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年07月13日 |
事例発生地 |
アメリカ、ミシガン州リバービュー |
事例発生場所 |
化学工場 |
事例概要 |
アメリカ、ミシガン州の化学工場にて、化学物質輸送用タンク列車の送出入パイプが破損。タンク内にあった有毒で、可燃性の非常に高い化学物質が流出。発火し、大火災となった。酸化した有毒ガスが周辺に広がったため、周辺住民約2000人は一時避難。3人が死亡。7人が呼吸障害などで病院に運ばれた。危険化学物質を輸送するにも関らず、列車装備に関し、安全点検、メンテナンスを行っていなかったとして、化学会社の管理責任となった。 |
事象 |
2001年7月14日、ミシガン州リバービューの化学工場で、化学物質輸送タンク列車の送出入パイプに、ひびが入り割れ落ちた。タンク内から、有毒で燃えやすい化学物質メチルメルカプタンが流出。それが何らかの原因で引火して、火災が発生、タンク内に引火したため、爆発炎上、大量の塩素、酸化した有毒ガスを発生。火災と有毒ガスにより、3人の工場従業員が死亡。7人が呼吸困難で病院へ運ばれた。有毒ガスが周辺一帯にも広がり、周辺住民は約10時間も家から避難退去させられた。 |
経過 |
2001年7月14日午前3時45分、A化学工場内の路線上、化学物質輸送タンク列車に備え付けられている送出入パイプにひびが入り脱落。タンク内にあった有毒で可燃性の非常に高いメチルメルカプタンが流出。午前4時9分、発火。火災はタンク内に引火し、爆発炎上、大量の塩素と酸化した有毒ガスを発生。消防隊は周辺住民約2000人に警報をだし、家から退去、一時避難をさせた。午前9時30分、火災は消し止められたが、有毒ガスの危険性があったので、避難住民が帰宅できたのは10時間後であった。有毒ガスと火災とで救助作業は困難をきたし最後3人目の遺体が発見されたのはその夜であった。 |
原因 |
化学物質を輸送列車のタンクに入れる又は出す際に使われる、送出入パイプのひび割れから始まった破損が、この惨事を引き起こした。危険物質を乗せる輸送タンクの装備に十分な点検、メンテナンスを怠っていたとし、A社の管理責任が問われた。 |
対処 |
パイプ破損部分から危険物質がもれた時点で消防署に通報、消防隊はいち早く駆け付けている。消防隊は、メチルメルカプタンの毒性と可燃性を十分に考慮して的確な対処を行っている。まず近隣住民を家から退去させ一時安全な場所へ退去。危険な有毒ガス中の消火作業にも関らず、5時間後には大火災を消し止めている。また、デトロイト川の一部を閉鎖するなど二次災害を予防した措置をとっている。 |
対策 |
輸送安全委員会は、輸送タンク列車の送出入パイプの破損から危険な化学物質が漏れ、このような惨事を引き起こしたとして、今後、A社へは、輸送タンク装備器具の十分な点検とメンテナンスを指示。また、危険化学物質が、行政や管理者の立ち会いなしで、簡単に荷上げ下しされている現状を危険と判断、危険物質の列車輸送には特別な法規を定め、危険化学物質を管理するよう決定した。 |
知識化 |
化学物質が引き起こす火災と有毒ガスの恐ろしさを改めて実感した事故である。 |
背景 |
リバービュー工場は、安全評価で「とても良い」のランクを長い間守り続けていた安全優秀工場であった。 |
後日談 |
周辺の大気汚染と川の水質汚染に関しては、事故後も引き続き検査が続けられている。 |
よもやま話 |
メチルメルカプタンは、鶏の化学飼料の製造に使われている。 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、管理不良、組織運営不良、運営の硬直化、品管制度不備、不良現象、化学現象、発火、不良現象、化学現象、物質間反応、爆発、破損、大規模破損、全焼、身体的被害、死亡、身体的被害、負傷
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情報源 |
http://www.ntsb.gov/publictn/2002/HZM0201.htm
http://www.cnn.com/2001/US/07/14/chemical.fire/index.html
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死者数 |
3 |
負傷者数 |
7 |
物的被害 |
輸送タンク列車2台、列車線路、ホースやその他工場設備 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
マユミビンクス (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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