事例名称 |
欠陥構造設計による吊り橋崩壊で46人が死亡 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1963年12月14日 |
事例発生地 |
アメリカ、オハイオ州カナウガとウエストバージニア州プリーザント間 |
事例発生場所 |
つり橋 |
事例概要 |
アメリカ、ウエストバージニア州とオハイオ州を結ぶつり橋、シルバーブリッジが突然崩壊し、オハイオ川に転落。クリスマスショッピングで最も混んだ時期のため、31台の車両が崩壊に巻き込まれ、46人死亡、18人負傷の大惨事となった。橋の基礎構造である吊り鉄板チェーンの老朽化による欠損が崩壊の原因である事が判明。建設当時、テクノロジーの驚異とされ、ケーブルの代わりに、鉄板をチェーン状にジョイントさせ、より高い強度と注目を浴びた構造のつり橋であったが、崩壊によりその構造の脆さが暴露された。 |
事象 |
1967年12月15日金曜日、オハイオ州とウエストバージニア州間に流れるオハイオ川にまたがるつり橋シルバーブリッジが、クリスマスショッピングで最も混み合っている交通状態の最中、突然、つり橋を支えている鉄板チェーンの鋼鉄板の一部が、永年の腐食により弱っていた上に交通渋滞による重量に耐えられず割れたことにより、橋を吊上げていた基礎構造が欠壊。橋は崩壊し、オハイオ川へと転落。31台の車両が巻き込まれ、46人が死亡、18人が負傷を負った。44人の遺体は確認されたが、2人の遺体は依然行方不明である |
経過 |
1967年12月15日金曜日、つり橋シルバーブリッジでは、クリスマスショッピングの最もピークの最中とあって、橋上は買い物帰りの車で混み合っていた。午後5時4分、突然、何の前触れもなく橋をつり上げていた基礎構造チェーンが欠壊、支えを失った橋は崩れるようにオハイオ川へと転落。橋上にいた31台の全車輌が巻き込まれ、逃げる間もなく、橋の崩壊土砂と共に転落していった。駆け付けた救助隊が、一晩中救出作業にあたったが、落下の衝撃や車内に閉じ込められての溺死などにより46人が死亡。18人が重軽傷。44人の遺体は確認されたが、2人の遺体は依然行方不明である。後の調査と目撃者の証言により、北側オハイオタワー付近の鉄板チェーンの鋼鉄板の老朽化による破損が原因とされた。 |
原因 |
調査の結果、橋の北側、オハイオタワーの西のジョイント部の鋼鉄が腐食が激しく、割れている事を発見。また。目撃者の証言によると、崩壊30分前に、オハイオタワーの付近で、ぱりぱりと何かが割れるような音と道路に鋼鉄の破片の山を見たという証言とにより、橋を支えている基礎構造チェーンの鋼鉄板が老朽化により破損した事が崩壊の原因とされた。また、当時テクノロジーの最先端と詠われ、強度に自信をもっていた鉄板チェーン構造のつり橋だったが、その構造の脆さが明らかになり、欠陥構造設計とされた。 |
対処 |
何の前触れもなく突然に起こった崩壊のため、巻き込まれた人々は、成す術もなく、車ごとオハイオ川に叉は岸辺に投げ出された。救急隊はいち早く駆け付け、全力を尽くし救助にあたったが、12月のオハイオ川の水の冷たさと夜の救助作業とあって困難を来たした。しかし、一晩中救助作業にあたり、9人の重傷を含む18人を助けだし、病院へと運び手当てに全力を尽くした。最終的に46人の死亡が発表された。しかし、44人の遺体は確認されているが、残念な事に2人の遺体はいまだに発見されず行方不明である。 |
対策 |
何故、全体の命綱となるような基礎チェーンに腐食に弱い鉄板が使われていたのか、また一部の欠損でさえ、全チェーンを破壊する危険な構造で橋を支えていたのかが疑問視された。その建築基礎構造に対し、使われていた材質特性のミスマッチが引き起こした惨事と判断。今後このような惨事をおこさないよう、橋梁建築構造の絶対強化とその使用材質に焦点をあて、4年もの歳月をかけ、研究調査がなされた。今後の建築土木の重要資料とし、金属疲労による割れ目、その危険性など、あらゆる過去の崩壊資料を取り寄せ、より強度で疲労度の少ない材質の分析、調査を行っている。 |
知識化 |
テクノロジーは進化しているが、どんな時代でも人間に失敗はつきものである。最新テクノロジーを駆しても必ず弱点はあり、過信は危険である。 |
背景 |
シルバーブリッジは、1928年建設当初、鋼鉄を編んだケーブルの代わりに、鋼鉄板をメタルピンで、自転車のチェーンのように繋いでゆき、その鋼鉄チェーンで吊り強度を支えるという、土木工学の驚異とされる程のテクノロジーを駆した画期的なつり橋だった。 |
後日談 |
新しい橋は、崩壊から2年以内に、古い橋より半マイル程南、オハイオ州とウエストバージニア州をつなぐUS35線につながるよう建設された。 |
よもやま話 |
映画「蛾男の予言」が、シルバーブリッジ崩壊をテーマにしたのではとないかと話題になった。 |
シナリオ |
主シナリオ
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無知、知識不足、教育・訓練不足、誤判断、誤った理解、概念立案ミス、計画・設計、計画不良、不良現象、機械現象、破損、劣化、錆、破損、大規模破損、崩壊、身体的被害、死亡、身体的被害、負傷
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情報源 |
http://www.geocities.com/silver_bridge1967/Silver_Bridge.html
http://www.rootsweb.com/~wvmason/pointpleasant/silver.html
http://home.wlu.edu/~journalism/bridges/maintenance.html
http://www.civeng.carleton.ca/ECL/reports/ECL270/Human-Failures.html
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死者数 |
46 |
負傷者数 |
18 |
物的被害 |
つり橋、31車輌 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
マユミビンクス (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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