事例名称 |
管制官の誘導ミスとコンピュータ故障による旅客機のニアミス |
代表図 |
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事例発生日付 |
2002年06月17日 |
事例発生地 |
イギリス、ハンプシャー |
事例発生場所 |
航空路 |
事例概要 |
イギリス、2機のA社旅客機が、ほんの2マイルの距離を交差するニアミスを起こした。発端はスワンウィック航空管制センターの訓練中管制官の誘導ミスによるものだが、事態に気が付いた指導官がパイロットへ警告を試みた際、装置が作動しなかった。このコンピュータの故障に大きな原因があるとされ、徹底的に調査された。 |
事象 |
イギリス、ロンドン・ヒースロー空港へ向かう2機のA社のB社製モデル旅客機が、スワンウィック航空管制センターの訓練中管制官の誘導ミスにより、同じルートに突入。その際、事態に気が付いた指導官が通信割り込み機能によって直接パイロットに通信をしようと、割り込みボタンを押すが、コンピュータの故障により作動せず。2機は、ほんの2マイルの水平距離に交差するというニアミスを起こした。 |
経過 |
2002年6月17日、ハンプシャー、サウザンプトンの近くにあるスワンウィック航空管制センターの訓練中管制官が、誤ってロンドン・ヒースロー空港へ向かうブラジルからのB社製旅客機C型に26,000フィート下降するよう指示をだしてしまった。この飛行レベルは、ワイト島の南70マイルに飛行中のスペインからのB社製旅客機D型がヒースロー空港に向かって来る空路であった。指導官が、この事態に気付き、パイロットに直接通信をする割り込みボタンを押すが、コンピュータの故障により作動しなかった。訓練生は、どうにか警告しようとB社製旅客機C型をB社製旅客機D型の上空で待機するよう指示をだすが、間に合わず、2機の飛行機は、ほんの2マイルの水平距離を交差するというニアミスを起こした。幸い事故には至らなかったが、この出来事はニアミスとして記録され、英国航空管制サービスと共同近接航空委員会により徹底的に調査された。 |
原因 |
訓練中管制官の誘導ミスが発端であるが、例え訓練生がミスをしても、指導官が通信に割り込んでそのミスを補える割り込み機能が動作するはずであった。しかし、事態に気が付いた指導官が、パイロットへ警告をだそうとしても作動しなかった。このコンピュータの故障に大きな問題があると非難された。 |
対処 |
指導官は訓練生の誘導ミスにすぐに気がつき、その時点で通信に割り込んでパイロットに直接指示を出せる通信割り込みボタンを押したが、コンピュータの故障により作動しなかった。また、訓練生もB社製旅客機C型をB社製旅客機D型の上空で待機するよう指示をだすが、間に合わなかった。 |
対策 |
スワンウィック航空管制センターは、完成当初からコンピュータの故障が相次いでいる。まずは、コンピュータトラブルを解決する事が最優先である。特に今回同様、管制官とパイロットのコミュニケーションにトラブルが相次いでいるという。今回の故障の原因を追求すると共に全体のトラブルを解決しなければならない。 |
知識化 |
2機の旅客機には合計350人の乗客が乗っていた。もし衝突していたらと考えると恐くなる。事故が起こってからでは遅い、コンピュータトラブルは徹底的に解決するべきである。 |
背景 |
スワンウィック航空管制センターは、62,300万ポンドの予算をかけ、2002年1月に完成されたばかりである。1996年完成だったが、様々なコンピュータソフトのトラブルが続いたため、実際の始動が遅れた。特に管制官とパイロットのコミュニケーショントラブルが相次ぎ、その結果、沢山のフライトの取り消しや遅れが発生した。また、2001年9月11日のニューヨークのテロ爆破以来、英国航空管制サービスは、景気の落ち込みで、深刻な経営難に陥っている。 |
よもやま話 |
ロンドンの西にある西ドレイトン航空管制センターでも、コンピュータの故障が相次いでいる。 |
シナリオ |
主シナリオ
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組織運営不良、運営の硬直化、品管制度不備、組織運営不良、構成員不良、構成員経験不足、使用、運転・使用、非定常操作、緊急操作、進路変更、機能不全、システム不良、起こり得る被害、ヒヤリハット
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情報源 |
http://www.computerweekly.com/Articles/2002/06/27/188061/system-override-failure-at-swanwick-air-traffic-centre.htm
http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/england/2057263.stm
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
マユミビンクス (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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