事例名称 |
サイドブレーキをかけずに停車したフロントリアローダー(ブルドーザー)が崖下に転落 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年02月14日 |
事例発生地 |
米国テキサス州ピーコス郡 |
事例発生場所 |
ノエルキー石灰坑 |
事例概要 |
石灰掘削現場のブルドーザー操作員が、パーキングブレーキ(サイドブレーキ)を掛けずにブルドーザーを採石壁面の崖縁に停車したため車両が崖下に転落、操作員も車両とともに30フィート(約9.1m)下の採石場に落ちて死亡した。 |
事象 |
サイドブレーキを掛けずに崖下の採石場に向かって下り傾斜のある崖縁にフロントリアローダー(ブルドーザー)を停車した。しかし通常ブルドーザー操作員が慣例的に行う、ショベル部分をブレーキ代わりに地面に下ろして駐車する方法で停車したために、車両が崖縁に向かって滑り始めた。デッキにいた同操作員がギアをバックに入れたが間に合わず、車両、操作員ともに約9.1m下の採石場に転落。ブルドーザーは上下逆さまにひっくり返り、操作員はほぼ即死した。 |
経過 |
A社が請け負うテキサス州内の石灰石掘削現場で、切り出した石灰石を粉砕場に運ぶ作業に従事していたブルドーザーの操作員B(当時31歳)が、採石場壁面上に、崖縁から20フィート(約6m)離してブルドーザーを停車。エンジンをつけたままサイドブレーキはかけずに、車両のデッキから装備の電源を切る作業をしていたところ、ブルドーザーが崖縁に向かって動き出したため、ギアをバックに入れ替えたが、そのまま30フィート(約9m)下の採石場表面に車両と共に転落、操作員は即死した。 |
原因 |
通常ブルドーザーの操作員らが慣例的に行う、ショベル部分をブレーキ代わりに地面に下ろして駐車する方法で、崖縁に向かって下り勾配のある場所にサイドブレーキ無しで停車したのが原因。 |
対処 |
崖縁に向かって前進するブルドーザーを止めようと、デッキから運転席に手を伸ばしてギアをバックに入れ替えた。(効果なし) |
対策 |
請負会社A社が、即時に鉱山保安衛生庁(MSHA)に報告。同庁がブレーキの状態、事故の経過、操業条件などを捜査した。 |
知識化 |
慣例的に行われる作業手順の中には、本来の正しい手順とは異なるものが意外と多い。特に死亡率の高い作業に従事する者に対し、適切な研修と厳格な監督指導を推進することで、多くの事故が防げる。 |
背景 |
事故車両のブレーキシステムは正常に作動し、前年の定期検査も受けていたことから、車両には問題がなかった。一方当作業員は、鉱山のブルドーザー操作員として3年の経験を持つが、MSHAが定める30 CFR 48に従って実施される定期研修を受けていなかった。 |
後日談 |
2000年に発生した28件の鉱山関連死亡事故のうち7件は、包括的な職場点検によって鉱山安全手順、鉱山作業の危険性を把握していれば防止できたものとして、MSHA職場点検のカギとなる「労働者の研修」を徹底するよう、鉱山関係者あてに書簡を交付した。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、作業のなれ、手順の不遵守、手順無視、操作手順無視、非定常操作、緊急操作、停止、不良現象、機械現象、相互運動部、落下、非定常操作、緊急操作、緊急停止、不良現象、機械現象、相互運動部、落下、破損、大規模破損、墜落
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情報源 |
http://www.msha.gov/FATALS/1997/FTL97M09.HTM
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死者数 |
1 |
負傷者数 |
0 |
社会への影響 |
近年同様の鉱山関連事故が多発している為、鉱山保安衛生庁(MSHA)から鉱山関係者に向けて十分な注意を促す通達が出されている。 |
備考 |
物的被害などについては詳細記述がないため不明。 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
タカコホール (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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