失敗事例

事例名称 回転翼不具合による警察ヘリコプター墜落事故
代表図
事例発生日付 2000年04月21日
事例発生地 英国ウェールズ地方カーディフ市
事例発生場所 住宅街
事例概要 2000年4月21日、英国ウェールズ地方の南方で、盗難車を追跡していた警察ヘリコプターの後部回転翼が飛行中、突然停止したため、民間の2階建家屋に墜落した。墜落前に、3人の乗務員は脱出、家の住民も家から脱出したため、死傷者はでなかった。ヘリコプターの墜落原因は回転翼の不具合であるが、それが当ヘリコプター(仏製A型)の欠陥だとは言い難い。英国航空事故調査委員会は、A型製造会社からエンジニアを呼び、同型のヘリコプターを不具合がないか徹底的に調査した。
事象 2000年4月21日、盗難車追跡の警察のヘリコプターが民間家屋に墜落した。飛行中、同機の後部回転翼が停止したことが原因。
経過 2000年4月21日夕方、英国ウェールズ地方の南方で、警察のヘリコプターが上空から盗難車を追跡していた。カーディフ市上空で突然、後部回転翼が停止した。3人の乗務員はヘリコプターが墜落する前に機内から脱出。同機が墜落した家屋の住民も墜落前に脱出したので、幸いなことに負傷者は出なかった。
原因 後部回転翼の不具合が墜落原因。同機は仏製のエンジン2基型A型(B社製造 )という機種だが、今までこの種の欠陥が報告されたことはなく、安全面においても問題のある飛行記録はない。事故機を所有していた警察側も、同機の飛行記録は今まで何も問題がなかったと証言している。ちなみに事故機は1985年に製造された。
対処 墜落現場周辺の住民60名は、自分たちの住宅から別の場所へ避難した。救急隊、警察、捜索隊が到着し、住民や乗員のケアや調査に乗り出した。航空事故調査委員会は墜落したヘリコプターの破片を事故調査のためにつなぎ合わせて同機を復元した。
対策 メンテナンス強化。A型製造元のB社からエンジニアを呼び、同ヘリコプターの徹底調査を要請。
知識化 航空機の欠陥はもちろん製造業者の責任だが、事故が起きて初めてその欠陥が明らかにされるケースが多い。そのため、何重にもわたる事前チェックは必須。整備士によるダブルチェックなどメンテナンス・チェックを入念に行う必要がある。
背景 仏製A型は、安全面において問題のある飛行記録もなく、現在、英国では62機、世界では600機ものA型が飛行を続けている。
後日談 ヘリコプターにおいて回転翼は飛行に不可欠かつ重要なパーツのひとつである。それだけに、回転翼の不具合から事故につながるケースは少なくない。2002年7月にも、米国で軍用ヘリコプター(C型)が、後部回転翼の不具合により墜落事故を起こしている。
よもやま話 ヘリコプターが墜落した家には、DさんおよびEさん夫妻とその3人の息子さんたちが住んでいた。家の損害は大きく、構造的に不安定な状態になってしまったという。損害額の見積もりが終了するまで、彼らは別の場所に身を寄せていた。
データベース登録の
動機
警察のヘリコプターが民間に被害を与えた、という点において興味がわいた。
シナリオ
主シナリオ 未知、異常事象発生、非定常行為、非常時行為、使用、運転・使用、ヘリコプター、不良現象、機械現象、相互運動部、破損、大規模破損、墜落
情報源 http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/wales/722180.stm
死者数 0
負傷者数 0
物的被害 機体、乗員の持ち物などの物品および住宅家屋1件。
分野 機械
データ作成者 エツタイノ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)