事例名称 |
船舶の激突によるクイーンイザベラ大橋落橋事故 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2001年09月15日 |
事例発生地 |
テキサス州イザベル港 南パドレ島 |
事例発生場所 |
クイーンイザベラ大橋(南パドレ島とテキサス州イザベル港をつなぐ大橋) |
事例概要 |
タグボートと曳航されていた四隻の荷船がクイーンイザベラ大橋の支柱に激突。そのため大橋の一部が落橋し、橋を走行中の車数台が橋から85フィート(約26メートル)下の海峡に落下。13人が水中から救出されたが、8人の死亡が確認された。当日の潮の流れが速かったことと水路にカーブがあったことで設置されている浮標がずれていたことが船を浅瀬へと誘い込み、砂州にぶつかり、その進行方向を狂わす原因となった。また、航海灯も事故当時作動していなかった。この事故により、南パドレ島は経済的な大打撃をうけることになった。 |
事象 |
クイーンイザベラ大橋付近を航行中のタグボートとそれに曳航されていた四隻の荷船が橋の支柱に激突した。それにより大橋の一部が落橋し、橋を走行中の車数台が85フィート(約26メートル)下の海峡に落下。13人が水中から救出されたが、事故後水中から引き上げられた車から遺体が発見されるなどして、8人の死亡が確認された。事故当日は普段より潮の流れが速く、また水路にカーブがあるため設置されている浮標がずれていたという。そのことが船を浅瀬へと導いてしまい、砂州にぶつかり、進行方向を狂わせていった。また、船員たちが標として使う航海灯は事故当時作動していなかった。この事故により南パドレ島の経済は大きなダメージを受けることになった。 |
経過 |
2001年9月15日午前2時ごろ南パドレ島と本土(テキサス州イザベル港)をつなぐ州内で最も長いクイーンイザベラ大橋(約4キロメートル)の支柱に、タグボートとそれに曳航されていた四隻の荷船が激突した。荷船四隻は鋼鉄、リン酸(肥料)を積んでテネシーへ向かうためタグボートが曳航していた。船が衝突したのは橋の真ん中付近の支柱で、その衝突により80フィート(約24.5メートル)を1セクションとする2セクション分がまず崩れ、数時間後もう1セクションが崩れた。最終的におよそ74メートルにわたって落橋したことになる。事故当時、橋を走行していた車数台が落橋に巻き込まれ85フィート(約26メートル)下の海峡に落下し、そのうち何台かは350トンのコンクリートの下敷きになった。13人が水中から救出されたが、クレーンで引き上げられた車の中から遺体が発見されるなどして、8人の死亡が確認された。事故直後から専門家による原因究明が始まったが、当日の潮の流れの速さと水路のカーブのために設置されている浮標がずれてしまい、それが船を浅瀬へ導びき、砂州にぶつかり、進行方向を狂わせる原因になったと報告された。また、船員が標として使っている航海灯が事故当時作動していなかったことも報告されている。クイーンイザベラ大橋の修理には最終的におよそ1ヶ月と約100万ドルがかかると予測された。この事故は南パドレ島に多大な経済的ダメージを与えることになった。 |
原因 |
専門家はタグボートの船長(44)のクイーンイザベラ大橋付近での状況に対しての認識不足を指摘した。船長は20年の航行経験があり、事故現場付近の航行経験も数回あった。事故当日、南西のほうからいつになく強く潮が流れていたが、船長はその強さに気がつかなかったという。そして、カーブのある水路に入ってきたのだが、潮の流れの強さと、カーブがあったために水路に設置してある浮標の位置がずれており、海峡の端のほうの浅瀬に入り込んでしまった。船の右舷が砂州にぶつかり、その後船はコントロールを失い進行方向が徐々に狂っていった。また、船員達が標として使う航海灯が当日点灯されていなかったことも明らかになった。なお、オペレーターは飲酒や長時間勤務をしておらず事故の原因になるような手落ちはなかった。 |
対処 |
事故直後より州警察と沿岸警備隊が事故原因の調査を開始。大橋は数週間閉鎖された。そして最終修理完了までの間、組立橋梁が設置された。また、州はフェリーやチャーターボートを手配し、本土と南パドレ島との行き来の策をとった。 |
対策 |
この事故を機に水路のS字カーブを取り除く等の整備が検討されることになった。また、潮の流れの異常を警告するために水路に計測器を設置することも検討されることになった。 |
知識化 |
一つの事故が大きな第二次災害を起こす。経験があっても、付近の状況確認は絶対不可欠。過信はできない。 |
背景 |
現場付近の航法支援システムはすべて正常な状態で、海峡の深部も14フィート(約5メートル)までは適切に整備されていた。 |
後日談 |
この事故のために解雇されるなどして金銭的に困難に陥った人たちのための『パドレ・イザベル救済基金』がつくられ、ウェブサイトなどを媒体として人々に呼びかけられた。そして、2ヵ月後の11月21日修理の完了したクイーンイザベラ大橋は再開された。 |
よもやま話 |
事故の2日前にクイーンイザベラ大橋に次ぐ、2番目の大橋建設計画の会議があったばかりで、すでに1000万ドルが予算として割り当てられていた。 |
データベース登録の 動機 |
あまり類をみない事故だが、島と本土をつなぐ橋を持つ私達としても興味深いものだと思ったから。 |
シナリオ |
主シナリオ
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企画不良、戦略・企画不良、試験計画不良、調査・検討の不足、環境調査不足、不注意、注意・用心不足、取り扱い不適、破損、大規模破損、崩壊、身体的被害、死亡、社会の被害、社会機能不全
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情報源 |
http://members.aol.com/wagneko2/queen1.html
http://www.caller2.com/2001/october/12/today/localnew/14358.html
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死者数 |
8 |
負傷者数 |
13 |
物的被害 |
クイーンイザベラ大橋の一部 タグボート一隻 荷船四隻 |
備考 |
物的被害の荷船四隻は支柱にぶつかった際に何らかのダメージがあったと考えられるため記載した。 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
ジュンコイノウエ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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