失敗事例

事例名称 生コンクリートの重さでペデストリアン橋が崩壊
代表図
事例発生日付 1998年10月09日
事例発生地 アメリカ、ニューヨーク州マーシー
事例発生場所 橋梁
事例概要 ニューヨーク州マーシー、建設中のペデトリアン橋が、生コンクリートを流し込んでいる作業の途中、突然橋桁が、ねじ曲がり、崩壊、転落した。橋上で工事をしていた作業員が崩壊に巻き込まれ、1人死亡、10人が重軽傷の大惨事となった。調査の結果、橋桁の鉄骨が、水分を含んだ生コンクリートの重量に耐えられず欠壊した事が明らかになった。
事象 ニューヨーク州マーシー、高速道路計画の一端として建設中のペデトリアン橋は、橋桁の構造鉄骨は既に出来上がっている状態であった。その橋のまん中付近で、作業員が、鉄骨桁にコンクリートを流し入れる作業をしている途中、突然橋がぐらつき、鉄骨桁がねじ曲がり、倒壊。橋は、作業員や重機械類と共に20フィート下の建設中高速道路に転落。その破壊力は凄まじく、周囲は、折れ曲がった鉄筋やコンクリート等で瓦礫の山と化した。1人の工事作業員が死亡、3人の重傷を含む10人が負傷の大惨事となった。
経過 2002年10月10日、ニューヨーク州マーシー、建設中のユチカ・ローマ高速道路の一端である、長さ170フィート、幅12フィートのペデトリアン橋上では、10人の作業員によって、橋桁にコンクリートを流し込む作業が行われていた。午前11時、作業員が、ちょうど橋の中間で、コンクリート用重機を使って仕上げ作業を行っている最中に、突然橋がぐらつき、橋を支える構造桁がよじれるようにねじ曲がり、橋は倒壊。橋は、作業員、重機械、生コンクリート、橋桁鉄骨と共に、20フィート下の建設中高速道路に転落。緊急救助隊や周辺にいた人々が駆け付け、45分後に生存者はいち早く救助されたが、1人死亡、10人が重軽傷の大惨事となった。残骸状況は酷く、撤去作業は困難をきたし、片付いたのは翌月だった。
原因 既に組み立てられていた橋桁の枠組鉄骨は、安全検査に合格しており、欠陥はなかった。後の調査や専門家の見解により、生コンクリートの重量に橋の鉄骨桁が耐えられず欠壊した事が明らかになった。通常、生コンクリートを多量に流し込む工事の際は、生コンクリートが多量の水分を含み、乾燥コンクリートよりはるかに重い事を考慮に入れ、橋桁に補助ブレースを施すなど、重量強度を補助する対策が取られている場合が多い。しかし、その措置はなされていなかった。
対処 大勢の緊急救助隊が素早く駆け付け、閉じ込められたり、挟まれた人々を機械を使って助けだした。周辺にいた人々も素手等で掘り起こし手助けをした。その適格な救助作業により45分後には、瓦礫の山から1人の遺体と3人の重傷を含む10人の負傷者全員が救出された。負傷者は、直ちに病院に運ばれ手当てを受けた。残骸の山が片付けられたのは、約1カ月たった翌月であった。
対策 生コンクリートの重量によっての崩壊は過去にも起こっているにも関らず、惨事は起きた。二度と繰返さないよう、設計者、工事会社に対し、工事作業中の生コンクリートの重量を計算に入れての対策を指導した。設計者に対しては、生コンクリートの重量を計算に入れての強度構造、スパンを短くとる鉄骨桁強度の強化対策。工事会社には、補助ブレース等で補強する工事方法等、作業安全対策を指導した。
知識化 鉄筋コンクリートは、仕上りは頑丈なものだが、その途中段階は、特性の違う脆いものである事を考慮しなければいけない。
背景 工事会社、設計者、工事作業員、行政、どれも法に反するような大きな過ちを犯していない。しかし、崩壊は起こった。
よもやま話 ペデストリアン橋を含むユチカ・ローマ高速道路計画は、総工費1億6500万ドル、1970年着工、2004年が完成予定だった。また、ペデストリアン橋は、総工費540万ドル、2002年春から開始し、10月が完成予定であった。
シナリオ
主シナリオ 企画不良、戦略・企画不良、試験計画不良、環境変化への対応不良、使用環境変化、無知、知識不足、過去情報不足、製作、ハード製作、建設的要因、建設、非定常動作、状況変化時動作、不良現象、機械現象、破損、破壊・損傷、材料強度不足、破断、身体的被害、死亡
情報源 http://www.cnn.com/2002/US/Northeast/10/10/bridge.collapse/
http://thepost.baker.ohiou.edu/archives3/oct02/101102/b5.html
http://thepost.baker.ohiou.edu/archives3/oct02/101102/b5.html
http://www.theithacajournal.com/news/stories/20021012
/localregional/273865.html
http://www.syrialive.net/Media/news/2002/100402Syrian%20building
%20collapse%20death%20toll%20rises%20to%2032.htm
http://www.uticaod.com/archive/2002/10/12/news/6981.html
http://www.wstm.com/Global/story.asp?S=1016583
http://www.uticaod.com/archive/2002/10/26/news/8132.html
http://www.uticaod.com/archive/2002/10/20/news/7587.html
http://www.uticaod.com/archive/2002/10/15/news/7173.html
死者数 1
負傷者数 10
物的被害 建設中橋梁と高速道路
分野 機械
データ作成者 マユミビンクス (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)