事例名称 |
52度の上昇角で離陸直後にA社航空機が墜落 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2003年01月08日 |
事例発生地 |
米国ノースカロライナ州シャーロット |
事例発生場所 |
飛行場 |
事例概要 |
米国ノースカロライナ州シャーロット空港で、A社航空A便が離陸直後に墜落した。昇降蛇の異常が事故の原因とみられているが調査は続行中。 |
事象 |
2003年1月8日午前8時49分頃、アメリカ・ノースカロライナ州シャーロット発同国サウスカロライナ州グリーンビル行きA社航空(運航はC社)A便、B社製B型機が、シャーロット・ダグラス国際空港を離陸直後に墜落した。この事故で乗員2名、乗客19名、計21名全員が死亡した。 |
経過 |
事故機は、浮揚直後に左に旋回してコースをそれ、機首を下げて急降下し、600m先のA社航空の格納庫の角に接触して墜落し炎上した。事故機のパイロットは墜落直前に管制塔に異常を伝えようとしたが、すぐに交信は途絶えた。 |
原因 |
DFDRの初期解析結果によると、事故機の離陸時の上昇角は52度を記録しており、通常の上昇角7度を大きく上回っていた。DFDRによると、上昇角が異常となる際に昇降舵の大きな動きが記録されていた。事故機は過去にも同様の昇降舵の異常を経験しており、昇降舵システムの異常が事故原因とみられている。現在も調査が続行されている。 |
対処 |
43機あるB社製B型機の内、9機がすぐに点検が行われた。昇降蛇に異常は発見されなかった。続いて残りのB社製B型機も点検が行われた。 |
対策 |
原因が何かを充分に調べ、その情報に基いて、今後同等の事故が起こらないようにするための安全に対する新しい提案や規則が設定される。 |
知識化 |
機械の点検、整備は人の命に関わる仕事である。中途半端な作業や確かな知識無しで行うと、取り返しのつかない事故へとつながることがある。 |
背景 |
事故機は2002年秋に燃料ポンプが燃料漏れを起こし交換し、2002年5月にはランディングギアが格納出来なくなるなどの故障歴を有している。B社製B型機については、同型機の中から水平安定板のボルトが緩んだものが発見されたことから、昨年8月にメンテナンスアラートが出され、同型機の安定板を点検するように航空各社に勧告が為されていた。事故機は1996年に製造された。B社製B型機の墜落事故は本件で5件となった。 |
後日談 |
操縦席から昇降舵への線の張力を事故の約24時間まえに調節していたことが明らかになり、現在も事故原因の調査が行われている中、昇降蛇の異常に絞られてきている。同時に、荷物がバランスよく積み込まれていたか等も調査の対象となっている。 |
よもやま話 |
事故機はDの子会社であるC社がA社の便として運航していた。事故機はコミューター便で予定飛行時間は30分であったため、客室乗務員は乗務していなかった。この墜落事故は、この空港で第三番目に被害が大きな事故となった。最悪の事故は1974年9月にE航空のF社製F型機が墜落した事故で72名が死亡した。1994年7月には、A社のF社製G型機が着陸時に墜落し、37名が死亡した。これらの事故では天候が要因の一つとなっていた。 |
当事者ヒアリング |
搭乗口担当者や手荷物担当者、整備士などは、飛行機が離陸した際「重そうな様子だった」と語っている。しかし、最高制限重量より100ポンド軽かったという。ただ「たとえ1000ポンド超えているからといって、墜落するものではない。」と関係者は述べていた。 |
データベース登録の 動機 |
広いアメリカ大陸では飛行機は観光客のみならず、ビジネスを行うための不可欠な足である。なぜこの事故が事前に防ぐことができなかったのか、詳しく知りたいと思い、同時に人々にも理解してもらいたいと思った。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、企画者不注意、計算間違い、手順の不遵守、手順無視、操作手順無視、非定常行為、変更、手順変更、使用、運転・使用、機能不全、ハード不良、機械・装置、破損、大規模破損、衝突、身体的被害、死亡
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情報源 |
http://www004.upp.so-net.ne.jp/civil_aviation/cadb/wadr/accident/20030108a2.htm
http://www.charlotte.com/mld/observer/4919122.htm
http://www.charlotte.com/mld/observer/news/4905234.htm
http://www.charlotte.com/mld/observer/news/4928444.htm
http://www.charlotte.com/mld/observer/4900214.htm
http://www.cnn.com/2003/US/South/01/14/plane.crash.ap/index.html
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死者数 |
21 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
飛行機一機 |
被害金額 |
不明 |
全経済損失 |
不明 |
社会への影響 |
飛行機利用者に不安を与えた。飛行機事故が起こるたびに、以前の事故で家族や友人を失った人々の悪夢が蘇る。 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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