事例名称 |
設計ミスによるヒースロー・トンネル崩壊事故 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1994年10月22日 |
事例発生地 |
英国ミドルセックス市ヒースロー空港 |
事例発生場所 |
地下 |
事例概要 |
1994年10月22日午前1時頃、英国ミドルセックス市ヒースロー空港 - ロンドン市パディントン駅を結ぶ建設中のヒースロー・トンネル一部が崩壊した。幸い、死傷者は発生しなかったが、地面が陥没したため周辺のビルディングが傾き、多くのビジネスが損害を被った。連鎖事故防止のため、関係者はトンネルにコンクリート石をつめたりして対処した。原因は設計ミスで、新オーストリア・トンネル工法を利用した噴射式コンクリート・トンネル・ライニングに不備があった模様。 |
事象 |
1994年10月22日午前1時頃、英国ヒースロー空港で、建設中のトンネル(アッパー・プラットフォーム、ダウン・プラットフォーム、およびホール)が崩壊した。地上が陥没したため、建物およびビジネスに被害がでたが、建物内の人々およびトンネル内作業員は無事に避難した。 |
経過 |
1994年10月22日午前1時頃、英国ヒースロー空港で建設中の地下トンネルが崩壊し、地面が陥没した。正確な場所は、第3ターミナル、第3駐車場区域メイン・ワーキング・シャフト内のアッパー・プラットフォーム、ダウン・プラットフォーム、およびホールの3箇所である。まず、メイン・ワーキング・シャフト近くのトンネル(地下20m)が崩れ、連鎖的に他の箇所のトンネルも崩壊した。地上には大きな穴が生じ、ビルディングが傾いたりしたので人々は避難した。トンネル内の従業員も無事に脱出。 |
原因 |
崩壊原因は、新オーストリア・トンネル工法を利用した噴射式コンクリート・トンネル・ライニングのインバート部分の構造に不備があったためだとされる。そのため、ダウン・トンネル周辺の圧力に変化が生じ、メイン・シャフトにも変化がでてきて、ダウン・プラットフォーム・トンネルの崩壊につながったのだと推測される。メイン・シャフトから30mのところに位置するホールの基盤に不具合があったことも要因のひとつ。 |
対処 |
連鎖事故防止のため、トンネル内にコンクリート石をつめ、トンネルの損傷箇所をコンクリートで補修。地上陥没箇所も負傷者がでないように保護した。ヒースロー・トンネル・ライニングの延長にあるロンドン橋やウォータールーは一時閉鎖。第3駐車場を含む空港内設備も一部閉鎖した。 |
対策 |
健康安全委員会は、作業および安全に対する基準を強化。ヒースロー・トンネルの建設業者A社およびコンサルタント会社B社は、従業員や公衆を守る義務を怠ったとして有罪になる。 |
知識化 |
利益よりも安全性を優先させること。トンネル等大規模な建設事業の場合、設計ミスは許されない。設計やその安全性については、他社によるダブルチェックを行うなどして設計ミスをなくすことが必要。 |
背景 |
ヒースロー・トンネルの建設は予定スケジュールよりも大幅に遅れていた。そのため、建設業者A社は安全よりもビジネスを優先してしまったと思われる。 |
後日談 |
建設業者A社は120万ポンド、コンサルタント会社B社は50万ポンド支払うよう、裁判所から判決が下った。 |
データベース登録の 動機 |
利用者も多い大都市空港の地下にあるトンネル事故なので選択した。 |
シナリオ |
主シナリオ
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企画不良、戦略・企画不良、試験計画不良、誤判断、誤った理解、詳細計画ミス、製作、ハード製作、建設的要因、建設、破損、大規模破損、崩壊、二次災害、損壊
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情報源 |
http://www.cen.bris.ac.uk/civil/staff/dib/casehist99/heathrowtunnel.htm
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
物的被害 |
トンネル、ビルディング、ビジネス等。 |
社会への影響 |
ヒースロー空港下のトンネルが崩壊したので、人々は一時、ヒースロー空港利用に不安を覚えた。 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
エツタイノ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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