失敗事例

事例名称 不作為により桟橋の一部が崩壊
代表図
事例発生日付 2000年05月18日
事例発生地 米国、フィラデルフィア
事例発生場所 デラウェアー川、ピア34
事例概要 南フィラデルフィアのデラウェアー川に位置する、ピア34の東側(ダンスクラブ、ヒートが位置する部分)が何の警告もなく、午後8時頃に崩れ始め、3人の死者と37人の怪我人をだした。この事故の原因は、桟橋の防波堤に使用されている木材の堆積が外れた為に起こったものと見なされている。この事故が起こる数年前から、ピア34のオーナーとクラブのオーナーには、ピアの構造上の問題を指摘した検査報告書が何度か提出されていたのにも関わらず、何の処置もとられていなかった。
事象 2000年5月18日午後8時頃、南フィラデルフィアのデラウェアー川に位置する、ピア34の東側(ダンスクラブ、ヒートが位置する部分)が何の警告のなく、突然崩れ始めた。事故直後の救助作業で、40人以上が川から救出されたものの、3人の死者と37人の怪我人をだした。
経過 2000年5月18日午後8時頃、南フィラデルフィアのデラウェアー川に位置する、ピア34の東側(ダンスクラブ、ヒートが位置する部分)が約140フィートにわたって崩壊した。事故当時クラブのバーは、常連客で賑わっており、従業員を含めた40人以上がデラウェアー川に投げ込まれた。その事故直後ピアを覆っていた布製のテントが崩れ、川に投げ込まれていた被害者の上に覆いかぶさった。ヘリコプターやボートを出し、大規模な救出作業が行われたが、潮が押し寄せ、桟橋の他の部分が崩れ始めた為、救助作業はその日の午後11時に打ち切られた。
原因 ピア34の防波堤に使用されている2,500の木材の堆積が外れたのが、この事故の直接原因とさているが、クラブがオープンした直後(同年の4月)に、事故が起こるのは一触即発であるという検査報告書が出ていたのにも関わらず、ピア・オーナーとクラブのオーナーは、それに対し何の処置も行っていなかったことが、事故の原因に大きな影響を与えている。
対処 デラウェアー川の一部の交通を遮断し、ボート、ヘリコプターによる大規模な救出活動が行われた。
対策 この事故が起こる前までは、フィラデルフィア市では、ピア・オーナーに対し、建築前の設計プランのみを提出させていた。定期的な機構検査は義務づけてはいなかった。今回の事故後、市ではデラウェアー河川のピア・オーナー全員に対して、請負業者を雇って、桟橋の構造上の検査を6月30日までに行うよう義務づけている。
知識化 市がピア・オーナー等に対し、定期的に構造上の検査を行うことを義務付け、その報告書を市に提出させるようにする。又、安全規定に満たない桟橋などは、使用を禁止する等の厳しい処置を取る必要があると思われる。
背景 ピア・オーナーとクラブ・オーナー両者は、桟橋に構造上の問題があると知っていたのにも関わらず、桟橋を修理もせず使用していた。
後日談 その後、この事故は刑事事件としてフィラデルフィアの大審判で取調べが行われた。
よもやま話 同年9月20日、ピア34のオーナーとクラブのオーナーの両者は、フィラデルフィアの大審判において、告発された。
データベース登録の
動機
つい最近、サンフランシスコのピアに行ったので、どうしてこの様な事故が起こるのかと、興味を持った。
シナリオ
主シナリオ 企画不良、戦略・企画不良、試験計画不良、価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、製作、ハード製作、建設的要因、建設、不良行為、倫理道徳違反、破損、大規模破損、崩壊、身体的被害、死亡
情報源 http://www.cnn.com/2000/US/05/19/pier.collapse.02
http://www.wsws.org/articles/2000/jun2000/phil-j01.shtml
http://216.51.34.146/news/pier34/pier34_cp120501.html
死者数 3
負傷者数 37
分野 機械
データ作成者 ヤエココン (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)