失敗事例

事例名称 機械故障によるトルコ軍用機の墜落
代表図
事例発生日付 2001年05月16日
事例発生地 トルコ国Malatya 州 Akcadag 周辺
事例発生場所 荒野(トルコの軍用機)
事例概要 34名を乗せたトルコの軍用機はアンカラへ向かう途中、機械的故障が発生したためにコントロールを失い、急降下し、頭から荒野に墜落した。機体は分解し、炎上。生存者は無し。
事象 トルコ軍用機が34名を乗せてDiyarbakir 市から首都アンカラへ向かう途中、飛行機がコントロールを失い、上空5000mから急降下し、頭から墜落し、炎上した。搭乗者は全員死亡。
経過 トルコの軍用機A社製A機は6名の乗務員と28名のトルコの特別軍隊のメンバーを乗せて、Diyarbakir 市から首都アンカラへ向かっていた。アンカラの南東およそ650km のMalatya 州 Akcadag 周辺で操縦士は飛行機のコントロールを失い、上空5000mから急降下し、近辺の家に衝突しそうになりながら、操縦士は荒野の方へと飛行機を向け、脱出も試みたが飛行機が頭から墜落し、複数に分解して炎上した。破片は300~400m四方に散乱していた。搭乗者は全員死亡。空中で爆発して墜落したと告げる目撃者もあり。
原因 機械的故障が発生したためにコントロールを失ったと見られている。
対処 これらの記事ではとられた対処などが特に記載されていないが、何らかの対処、対策が敏速にとられていたならば、2日後の事故を防ぐことができた可能性がある。
対策 このタイプの飛行機の購入契約をキャンセルし、他のタイプを購入した国もある。
知識化 小さな危険サインでも、それを無視して行動を起こしてしまうと、重大問題につながることがある。なぜ事故が起きたのかを充分に調査し、その後の事故を防ぐために活用する必要がある。また、エンジニアが危険を予期している場合には、充分に耳を傾けて、その根拠、信頼性などを充分に調べる必要がある。
背景 このA社製A機はスペインの飛行機製造会社が製造したもので、トルコ軍ではA社の飛行機を約50機使用している。また、世界20カ国の軍隊で230機のA社製A機が使用されている。あらゆる環境にも対応でき、安全で信頼性が高いといわれていたが、同年の1月にもA社製カーゴ機がトルコの中央部で墜落しており、3名が命を失った。また、この事故の2日後にもA社製A機がテスト飛行中に墜落し、4名が死亡している。トルコの軍隊がA社製A機を購入するにあたり、この種の飛行機を軍用機として使用するには危険が伴うという内容のレポートが作成されたが、それにも関わらず、契約が進められた。
後日談 この事故の2日後にも、トルコ軍基地でA社製A機がテスト飛行中に墜落し、4名が死亡。同年8月29日にはスペインで同種の飛行機の墜落事故が起こり、4名死亡。
よもやま話 更に3名の兵士もこの便に乗るはずであったが、出発に間に合わなかったために、命を失わずにすんだ。また、Diyarbakir はトルコの軍隊が長い間クルド人反抗グループと戦ってきた緊急時規則地域の中心である。およそ3万人の人々が1984年からの間、対立で命を失ったが、1999年にゲリラチーフのアブドラ・オジャランが逮捕されて以来、戦闘状態が緩和された。この墜落とゲリラ対立との関係は明示されていない。
当事者ヒアリング 「我々が消防団と一緒にクラッシュサイトに着いたとき、手のつけられない状態であった」、と Akcadagの市長 、A氏がCNNトルコテレビに語った。飛行機は識別できない状態で、「数えることが不可能で、我々は死傷者の数についてのインフォメーションを持っていない。ただ遺体のかけらだけがあった」と彼は言った。
データベース登録の
動機
同じ会社の飛行機が、1国で1年間に3度も墜落していることから、なぜそのようなことになったのか興味も持った。何らかの形で防ぐことができなかったのかと、疑問に思ったため。
シナリオ
主シナリオ 企画不良、戦略・企画不良、試験計画不良、計画・設計、計画不良、使用、運転・使用、手順、機能不全、ハード不良、機械・装置、動作不能、破損、大規模破損、墜落、身体的被害、死亡
情報源 http://www.cnn.com/2001/WORLD/europe/05/17
/turkey.plane/index.html
http://www.cnn.com/2001/WORLD/europe/05/18
/turkey.aircrash/index.html
http://www.yozawa.com/flight/disaster/051701/turkyj.htm
http://www.cnn.com/2001/WORLD/europe/05/16/casa.plane/
http://www.turkishdailynews.com/old_editions/05_24_01/for.htm#f3
http://www.combataircraft.com/aircraft/ccn235.asp
死者数 34
負傷者数 0
物的被害 カーゴ機1機
被害金額 不明
全経済損失 不明
社会への影響 この事故はトルコの飛行機事故の中でも1994年のトルコ航空事故以来の大惨事で国民に大きな衝撃を与えた。また、あらゆる訓練をうけたエリートの特殊隊員が多数死亡し、トルコの軍隊としても大きな損害である。
分野 機械
データ作成者 タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)