事例名称 |
行政の不作為による洞窟の崩壊で20家屋崩壊、32人死亡 |
代表図 |
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事例発生日付 |
1998年10月01日 |
事例発生地 |
シリア、アレッポ、アルサウジヒル |
事例発生場所 |
洞穴上 |
事例概要 |
シリアのアレッポにて、居住許可のおりない洞穴の上に暮らしてしていた20軒あまりの家々が、突然崩壊、土砂に押しつぶされた。住民全員、逃げる間もなく瓦礫の下に埋もれた。必死の救助作業によって、22人の生存者が救出、32人の死亡が確認された。崩壊は、土台である洞穴が自然崩壊した事が原因だが、危険と知りながらも、正規の家を持てない貧しい人達がやむを得なく住んでいたため、多数の死者を出す惨事となってしまった。 |
事象 |
2002年10月2日、シリアのアレッポのアルサウジヒルの洞穴の上に寄り添うように建てられていた20軒あまりの家々は、洞穴の崩壊によって、一瞬のうちに崩れ、土砂に押し潰された。早朝だったため、住民全員が寝込みを襲われ、逃げる間もなく瓦礫の下に埋もれた。この地域は、洞穴上で地盤が弱いとし、居住許可がおりない危険な場所であったが、住む家のない貧しい人々は、やむを得ず簡素な家を建て、肩を寄せあって暮らしていた。崩壊し瓦礫と化した家屋は、3メートルも土砂の下に埋まり、火災も発生し、救出作業は困難をきたしたが、翌日、22人の生存者が救出、32人の遺体が確認された。 |
経過 |
2002年10月2日朝4時、シリアのダマスカスの北270キロメートルに位置するアレッポのアウルサウジヒルで、突然地響きが起こり、洞穴が崩壊。洞穴の上に寄り添うように建てられていた約20軒の家々が、一瞬の内に地崩れに巻き込まれ、崩れ去った。崩壊は凄まじく、15分間、土砂の粉塵と火災の炎と煙とで何も見えない状態だった。家屋は3メートルも土砂の下に押しつぶされ、壊滅状態だった。火災の消火と瓦礫の除去とで、救出は困難をきたした。救助隊は、崩壊の起きた4時から夜通し次の日まで、緊急用の薬、食料や水をもって生存者を探し続け、翌日には32人の遺体と22人の生存者を瓦礫の山から救出した。 |
原因 |
崩壊は、洞穴の地盤の崩れからきた自然崩壊であった。この場所は、地盤が弱く、以前にも学校が崩壊している。そのため居住許可がおりない危険地帯であった。しかし、人口過密のアレッポでは、貧しく家のない人々が、危険な場所とわかっていながらも無許可で洞穴の上に家を建て始め、現在に至っていた。居住許可がおりない危険地域に、住まざるを得ない人々の貧しい状況、また、それを見て見ぬふりをしていた行政が被害を大きくしたといえる。 |
対処 |
救急隊は直ちに駆け付け、火災の消火と生存者の救出に全力を尽くした。瓦礫と土砂の下に生き埋めになっている人々を探し出し、救出する作業は、困難をきたしたが、夜中、次の日にも引き続き続けられ、絶望とされていた22人の生存者を瓦礫の中から助けだした。近隣住民も素手で穴を掘ったり、手渡しで瓦礫を撤去する等して救助に大いに貢献した。国からは、薬、食料、水、シェルター等が素早く手配されていた。 |
対策 |
古代洞穴が点在するアレッポには、他にも同じように危険とされるスラムがある。行政は、危険区域の住民の立ち退きを徹底するべきである。それには、公共アパートやシェルターの提供など、行政が対策を講じなければ必ず惨事は再び繰り替えされるだろう。 |
知識化 |
危いとわかっていながらも見過ごしてきた結果である。危険は放っておくと必ず惨事を引き起こす事を今後の教訓とするべきである。 |
背景 |
崩壊した地域一帯は、アレッポの中でも、最も貧しい人々が暮らすスラムであった。 |
後日談 |
サウジの億万長者が、遺族と負傷者それぞれに、見舞金として5000ドルずつ寄付した。 |
よもやま話 |
アレッポは、紀元前2世紀以来、あらゆる商業ロードの交差地として栄えた最古の都市であるが、現在は、人口過密と貧困で頭をかかえている状態である。 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、事前検討不足、審査・見直し不足、価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、不良行為、倫理道徳違反、破損、破壊・損傷、材料強度不足、破断、破損、大規模破損、崩壊、身体的被害、死亡
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情報源 |
http://www.rte.ie/news/2002/1002/syria.html
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/middle_east/2292361.
http://www.sabcnews.com/world/the_middle_east/0%2C1009%2C44339%2C00.html
http://www.syrialive.net/Media/news/2002/100202Tragedy%20in%20Syria%20-%20at%20least%2024%20killed%20in%20house%20collapse.htm
http://www.syrialive.net/Media/news/2002/100402Syrian%20building%20collapse%20death%20toll%20rises%20to%2032.htm
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死者数 |
32 |
負傷者数 |
22 |
物的被害 |
20家屋全壊 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
マユミビンクス (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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