事例名称 |
石切り作業現場での安全措置の不備による巻き上げ機落下事故 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2002年02月13日 |
事例発生地 |
米国フロリダ州マイアミ |
事例発生場所 |
石切りおよび加工作業所 |
事例概要 |
頭上のビームに取り付けてあった巻き上げ機が、安全用機械掛け金が取り付けられていなかったために、ビームをすべり落ち、作業者に衝突した。 |
事象 |
石切作業場で発電機を取り付ける作業を行っている際、発電機の電機子を移動させるために巻き上げ機をビームから別のビームへと移動させる際にビームからすべり落ちて、作業者の上に落下し、作業者が死亡。 |
経過 |
被害者は、事故当日通常どおり午前6時に出勤し、他の電気関連担当者と共に発電機の取り付け作業を始めた。もう一人の電気担当者が発電機を取り付ける場所に入り、電線の接続などを始めた。被害者はモーターベース2機の間の通路に立ち、必要な道具などを手渡していた。その時、機械担当者は、発電機の電機子に適切な空間交差を設定するための継ぎ手ボルトの穴を位置調整するために詰め木を取り付けようとしていた。そのために発電機の電機子を持ち上げるための巻き上げ機の位置調整をしていた。右へ移動可能なビームから交差用のビームへと巻き上げ機を移動させようとした。巻き上げ機のチェーンを引きながら、被害者に対して、その場所から移動するように告げたが、被害者が移動する前に巻き上げ機が固定された交差ビームの端から落ち、重さ約527kgの巻き上げ機が被害者の上に落下した。 |
原因 |
後部の交差ビームに安全用のラッチが取り付けられていなかった。頭上のビームの安全ラッチは上がった状態になっており、正しく作動していなかった。正しい点検、メンテが行われていなかったため、安全ラッチの故障に対して、敏速で適切な対応が取られていなかった。 |
対処 |
巻き上げ機を被害者の身体から移動させると同時に、無線ですぐに事務所に連絡し、救急車を呼んだ。 |
対策 |
事故の日から事故の調査が始まった。鉱山保安衛生庁は作業者に質問などを行い、事故現場の検査、作業手順のチェック、作業環境などをチェックした。事故の後、定期検査が行われた。 |
知識化 |
毎日行うやりなれた作業でも、点検、メンテナンスは欠かしてはならない。点検により、以外な場所の故障が発見できることもある。点検、メンテを怠ると、事故につながる可能性がある。 |
背景 |
この事故の前に行われた最後の点検が実施されたのは、2001年8月10日であった。事故の2日前に別の発電機の故障があり、修理のために作業場から取り外され、修理に出されたが、その際、頭上の巻き上げ機のチェーンが絡まり、使用できなくなっていた。クレーンを使って発電機を取り出した。 |
後日談 |
事故の後、事故に関連しなかった巻き上げ機を使って試してみた所、巻き上げ機のチェーンを引いた際、外側の滑車が回転し、ビームのフランジの上に乗っている巻き上げ機のコマが回転し、このコマはその隣のギアに接続されているので、チェーンを引くとチェーンを引きながら移動するようになっていた。 チェーンを引いて手放した後、更に5cmから15cm移動することが分かった。 |
よもやま話 |
被害者は53歳で、この会社では約1年働いていた。30 CFR の第46章に基いて、研修も受けていた。 |
データベース登録の 動機 |
小さなミス、見逃しにより、人の命を失う事故が生じることを人々に再認識してもらいたいと感じた。被害者の家族の悲しみ、またこの事故を起こしてしまった他の作業員の罪の意識は一生消えることが無く、小さな事故のようでも多くの人々の人生を変えてしまうことを理解してもらいたいと思った。 |
シナリオ |
主シナリオ
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不注意、注意・用心不足、作業のなれ、価値観不良、安全意識不良、安全対策不足、定常操作、手順不遵守、ビーム、不良現象、機械現象、相互運動部、組合不良、外れる、身体的被害、死亡
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情報源 |
http://www.msha.gov/FATALS/2002/FTL02m09.HTM
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死者数 |
1 |
全経済損失 |
鉱山保安衛生庁の調査が終了し、安全が確認されるまで施設の使用が禁止され、会社の業務が一旦停止となった。 |
社会への影響 |
従業員に大きなショックを与えた。 |
分野 |
機械
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データ作成者 |
タカミハマダニ (SYDROSE LP)
中尾政之 (東京大学工学部附属総合試験所総合研究プロジェクト・連携工学プロジェクト)
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