失敗事例

事例名称 ポリアセタール樹脂に金属をインサート成形した部品が破損した
代表図
事例概要 ポリアセタール樹脂に金属をインサート成形した部品が、しばらくして破損した。ポリアセタール樹脂は、結晶質部分と非結晶質部分が混在している。成形後、非結晶質部分の結晶化が進行して、体積が減少する(縮む)が、インサートした金属が収縮変形の抵抗となり、樹脂が破損した。
事象 ポリアセタール樹脂に金属をインサート成形した部品が、しばらくして破損した。
経過 図1のように、ポリアセタール樹脂に金属をインサート成形したところ、しばらくしてポリアセタール部分が破損した。
原因 ポリアセタール樹脂は、結晶質部分と非結晶質部分が混在している。成形後、非結晶質部分の結晶化が進行して、体積が減少する(縮む)が、インサートした金属が収縮変形の抵抗となり、樹脂が破損した。
知識化 ポリアセタール樹脂は、機械的特性、電気的特性、摺動性、成形性、成形品の寸法安定性に優れた特性を持っており、構造材料や機構部品として、電気機器、自動車部品、精密部品等に広く使用されている。しかし、他の熱可塑性樹脂に比べて、クリープ変形が生じにくいが、本事例のように、クリープ破壊寿命が短い。
背景 本事例のように、加工(成形)後の反応で不具合を起こす場合もある。なお、インサート成形とは、金型に中子(なかご)となる金属を挿入しておいて、まわりにプラスチックを射出成形する成形法である。
シナリオ
主シナリオ 無知、知識不足、過去情報不足、ポリアセタール(POM)、鋼材、軸、計画・設計、流用設計、使用、運転・使用、不良現象、化学現象、物質間反応、破損、破壊・損傷、クリープ
情報源 創造設計エンジンDB
マルチメディアファイル 図1.ポリアセタールの金属インサート部品
分野 機械
データ作成者 張田吉昭 (有限会社フローネット)