失敗事例

事例名称 超高圧結晶成長装置(HIP装置)のソフトミスによる配管破裂
代表図
事例発生日付 2001年05月
事例発生地 山口県
機器 HIP装置
事例概要 材料研究センターでHIP装置(超高圧結晶成長装置)の通常運転を行っていた。高圧容器〔容量0.0088m3、常用圧力1000MPa、常用温度1500℃、内径130mm、厚さ343.5mm(5層厚さ)、高さ780mm〕は通常運転のとき、窒素ガス封入→温度・圧力の上昇→製品の保持(2時間保持)→降温・降圧→ガスの放出(入口弁が150MPa以下となると開く)→製品の取り出しという工程が自動運転のシーケンスに組み込まれている。
事象 事故時、製品の保持時間を2時間から4時間に変更する必要が生じたので、途中で自動運転の圧力プログラムを一時停止とし、保持時間のみ4時間と変更した。通常運転であれば保持中の温度・圧力変動幅はシーケンス上で処理されている。変更運転(保持時間の延長)の時、容器内の圧力低下(998.1MPa)が起こりポンプが自動復帰し圧力が1000MPaを超えた。また保持時間が指示値に達したので自動的に降温・降圧の操作に移行した。この時シーケンスソフトのミスで圧力1000MPa以上の値の最上位がケタ落ちする不備があった。このため入口弁が開き1000MPa以上のガスが逆流し196MPa系統の高圧管継手(内径10mm、厚さ7.5mm、材質SFCM930D)及び破裂板(材質SUS316、作動圧力236MPa)が破裂した。
経過 運転員は装置の非常停止及び扉・窓を開放し室内を換気した。この事故による人的被害はなかった。
原因 設計・構造上の不良,誤操作
対策 あらゆる事象を想定しシーケンスソフトの事前検証を行う。
知識化 あらゆる事象を想定しシーケンスソフトの事前検証を行うこと
シナリオ
主シナリオ 環境変化への対応不良、使用環境変化、作業環境変化、非定常操作、操作変更、操作手順変更、超高圧結晶成長装置(HIP装置)、容器内圧力低下、製作、ソフト製作、プログラムミス、最上位ケタ落ち、入口弁開放、ガス逆流、破損、大規模破損、破裂、高圧管継手、漏洩
情報源 高圧ガス保安協会
死者数 0
負傷者数 0
物的被害 不明
被害金額 不明
全経済損失 不明
分野 材料
データ作成者 小林 英男 (東京工業大学)