事例名称 |
蒸留塔コンデンサー下部配管の応力腐食割れによる漏洩・火災 |
代表図 |
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事例発生日付 |
2001年08月 |
事例発生地 |
三重県 |
機器 |
蒸留塔コンデンサーの下部配管 |
事例概要 |
半導体多結晶シリコンを製造している化学工場で巡回中の係員が水素精製装置のHCL蒸留塔(4階に設置)コンデンサーの下部配管付近からブライン(トリクレン、メチルアルコールの混合液)が漏れているのを発見した。漏れ箇所を特定するためブライン配管の保冷材を外す作業を開始した。レンチの先端(シノ部分)で数回突き刺していたところ「ボーン」という音と共に着火した。直ちに消火活動を行い、消防署へ通報した。 |
事象 |
当該装置の反応炉に原料となる半導体級トリクロロシランと水素ガスが供給され、水素ガスはキャリアーガスとして使用される。反応炉の排出ガスは水素を主成分とし複製した四塩化ケイ素、トリクロロシラン、塩化水素及び未反応のトリクロロシランで構成され、クロルシラン、塩化水素を回収し水素を半導体級の品質に戻して反応炉に供給される。当該設備は凝縮系と吸収吸着系に大別され、事故が発生したのは吸着系のHCL蒸留塔コンデンサー(管側:プロセスガス、圧力8.5kg/cm2、温度-35℃、ジャケット側:ブライン、圧力0.8kg/cm2、温度-48℃)下部配管のT型溶接継手(二次漏洩・火災箇所、25A配管に15A配管を突合せ溶接)で溶接部にピンホールがあり腐食によって貫穴したもの。直接原因はHCL蒸留塔コンデンサーの下部液溜め部(一次漏洩箇所、内径400mm、厚さ5mm、材質SUS304、ジャケット付)の鏡板周方向に応力腐食割れが発生し、プロセスガスがジャケット側のブラインに混入したもの。(腐食速度:0.31mm/年) |
原因 |
劣化(腐食) |
対策 |
・使用材料をSUS304からSUS316Lへ変更 ・ブラインpH管理のチェック体制 |
シナリオ |
主シナリオ
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調査・検討の不足、環境調査不足、使用環境調査不足、材料選択ミス、pH管理のチェック体制不備、使用、運転・使用、機械の運転・操縦、蒸留塔、破損、破壊・損傷、応力腐食割れ、コンデンサー下部配管、漏洩、使用、保守・修理、漏洩箇所点検不良、レンチで突き刺す、不良現象、化学現象、発熱・発火、二次災害、損壊、火災
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情報源 |
高圧ガス保安協会
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
6 |
物的被害 |
不明 |
被害金額 |
不明 |
全経済損失 |
不明 |
分野 |
材料
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データ作成者 |
小林 英男 (東京工業大学)
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