失敗事例

事例名称 カードル容器に三フッ化ホウ素充填中の配管破裂
代表図
事例発生日付 2001年12月
事例発生地 大阪府
機器 カードル容器
事例概要 半導体の基板洗浄等に使う三フッ化ホウ素ガス(BF3)を製造している化学工場で充填台主管(口径15A、厚さ1.66mm、材質SUS304)からカードル容器(容量47リットル×10本組)にガス(圧力14.7MPa、温度30℃)を充填していた。圧力が約10MPaに達した頃、カードル容器充填口とカードル容器間に設けられた充填枝管(外径8mm、厚さ2mm、材質:りん脱酸銅、長さ約1100mm)の曲管部が破断した。漏洩したガスは空気中の水分と反応して白煙を出しながら工場周辺に漂ったため、消防署の広報車が「家の中に入って窓を閉めて」と呼びかけた。
事象 充填枝管の元厚は2mmであるが、破損した曲管部(直径120mm、3.5巻)の残肉厚は外周側で0.2mm、内周側で1.3mmとなっている。銅管の内表面は三フッ化ホウ素の不純物である硫黄との反応で黒ずんでおり、エロージョン・コロージョンの様相を呈している。
経過 当該装置は使用開始後1.3年(2回充填/1日)経過しており、充填時のガス流速は約664m/秒と非常に速い状態で充填している。一方、同じ充填台主管から枝分かれして充填しているバラ容器用充填枝管を調査したところ、曲管部(直径120mm、3.5巻)の減肉量は0.5mmと小さく、事故管に見られるような極端な減肉は見られない。バラ容器用充填枝管の使用期間は5年で、充填時のガス流速は約51m/秒である。(腐食速度:1.38mm/年)
原因 劣化(エロージョン・コロージョン)
対策 ・充填枝管の材質をCuからSUSに変更し、充填時のガス流速を遅くする。
・カードル容器側に逆止弁を設置する。
・漏洩箇所に近づけるように誘導帯を設ける。
・充填枝管口の湿気防止(銅と三フッ化ホウ素の反応)
シナリオ
主シナリオ 調査・検討の不足、環境調査不足、使用環境調査不足、硫黄存在環境、使用、運転・使用、機器・物質の使用、三フッ化ホウ素充填装置、りん酸銅製充填枝管、不良現象、熱流体現象、流体現象、高流速充填、破損、減肉、エロージョン・コロージョン、破損、大規模破損、曲管部破断、ガス漏洩
情報源 高圧ガス保安協会
死者数 0
負傷者数 0
物的被害 不明
被害金額 不明
全経済損失 不明
分野 材料
データ作成者 小林 英男 (東京工業大学)