事例名称 |
敦賀発電所1号機動作不良制御棒22-23の点検に伴う原子炉停止について |
代表図 |
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事例発生日付 |
1997年10月24日 |
事例発生地 |
福井県敦賀市 |
事例発生場所 |
日本原子力発電株式会社 敦賀発電所1号機 |
機器 |
制御棒 |
事例概要 |
定格出力で運転中、制御棒駆動系の定期試験において、制御棒73本のうち1本が挿入動作しないことが確認されたため、原子炉を手動停止し原因調査を行った。原因は、製造時に制御棒ブレードに原子炉の運転に伴う中性子照射型応力腐食割れ(IASCC)が発生した。このき裂を通じて原子炉停止後炉水が更に浸入し炉水とボロンカーバイド等が反応して生成した化合物が原子炉再起動後の温度上昇に伴い固化、充填孔を閉塞。炉水の気化等の発生により内圧が上昇、充填孔間のリガメントが破断し膨れが発生したため燃料チャンネルボックスと干渉し制御棒の動作不良が生じた。 |
事象 |
(1) 制御棒製造時に制御棒ブレード上端部付近に局部的な加工歪み等が生じ、原子炉の運転に伴う中性子照射型応力腐食割れ(IASCC)が発生し、き裂が生じた。このき裂より炉水がブレード内部に浸入した。 (2) 炉水とボロンカーバイド等の反応により水素が発生し、ハフニウムの水素化・膨張を誘発、当該ブレード表面に引張応力が生じてIASCCが発生、これらの割れを通じて原子炉停止後炉水が更に浸入。 (3) 炉水とボロンカーバイド等が反応して生成した化合物が原子炉再起動後の温度上昇に伴い固化、充填孔を閉塞。 (4) 炉水の気化等の発生により内圧が上昇、充填孔間のリガメントが破断し膨れが発生したため燃料チャンネルボックスと干渉し制御棒の動作不良が生じた。 |
経過 |
定格出力で運転中、制御棒駆動系の定期試験において、制御棒73本のうち1本が挿入動作しないことが確認されたため、原子炉を手動停止し原因調査を行った。 |
原因 |
制御棒製造時に制御棒ブレード上端部付近に局部的な加工歪み等が生じ、原子炉の運転に伴う中性子照射型応力腐食割れ(IASCC)が発生し、き裂が生じた。停止時にこのき裂より炉水がブレード内部に浸入した。炉水とボロンカーバイド等が反応して生成した化合物が原子炉再起動後の温度上昇に伴い固化、充填孔を閉塞。炉水の気化等の発生により内圧が上昇、充填孔間のリガメントが破断し膨れが発生したため燃料チャンネルボックスと干渉し制御棒の動作不良が生じた。 |
対処 |
(1) 製造時の高歪みの残留と中性子照射により中性子照射型応力腐食割れ(IASCC)が発生することの認識が重要。 (2) 炉水がIASCCによるき裂から制御棒内部へと浸入した場合の問題点について認識することが重要。 (3) 型式の相違した機器を導入した場合表面検査等の製品ライフタイム中での検査を充実すべきである。 |
対策 |
(1) 膨れのあった当該制御棒及び同型のものについて、違う型式のものと取替え。 (2) 新型制御棒導入に当たっての品質保証活動を強化することとした。 |
知識化 |
中性子照射される環境では、高歪みが残留していた場合、IASCCが発生する可能性が高い。 |
シナリオ |
主シナリオ
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未知、未知の事象発生、計画・設計、計画不良、設計不良、設計変更、ステンレス鋼、板厚増加、穴加工間隔の減少、製作、ハード製作、機械・機器の製造、曲がり矯正で高残留応力発生、使用、保守・修理、点検、検査、SCC発生の確認せず、破損、破壊・損傷、応力腐食割れ、き裂・割れ、応力腐食割れ発生箇所から水の浸入、照射により水とボロンカーバイドが反応し化合物が生成し均圧孔を閉鎖、熱により水が蒸気になり内圧上昇、膨れ発生
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情報源 |
通商産業省資源エネルギー庁日本原子力発電(株)敦賀発電所1号機動作不良制御棒22-23の点検に伴う原子炉停止について
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
マルチメディアファイル |
図1.制御棒外観状況図(制御棒22-23の代表的な割れ・変形のみ)
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分野 |
材料
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データ作成者 |
村上 弘良 (日本原子力発電(株))
小林 英男 (東京工業大学)
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