事例名称 |
美浜発電所2号機化学体積制御系配管からのキャビテーションによる一次冷却水漏えい |
代表図 |
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事例発生日付 |
2000年04月07日 |
事例発生地 |
福井県敦賀市 |
事例発生場所 |
関西電力株式会社美浜発電所2号機 |
機器 |
化学体積制御系抽出配管エルボ |
事例概要 |
起動停止時の抽出流水量切替時に配管内部の急激な流量変化により流体振動が発生して高サイクル疲労が発生してエルボ溶接部に割れが発生・進展した結果漏洩に至った。 |
事象 |
(1)図3 破壊形態、破壊のメカニズムとプロセスに着目したフォールトツリー図 起動停止時の化学体積制御系抽出流量変更時にキャビテーションが発生した。キャビテーションによりオリフィス内側が減肉した。オリフィス下流側の形状が減圧を引き起こす程度までに至ったことから通常の定格出力運転中の一定流量流出時にもキャビテーションが発生するようになった。この定格出力中のキャビテーションによる流量変化により設計時に考慮していない流体による振動が発生した。これにより高サイクル疲労がエルボ溶接部に発生した。 (2)図4 設計・製造における不適切・不良に着目したフォールトツリー図 設計・製造時には想定していない状況がオリフィス下流に発生した。不適切設計・製造はなかった。 (3)図5 機器の負荷履歴・環境と材料に着目したフォールトツリー図 オリフィス下流に減肉が発生したことから定格運転中にもキャビテーションが発生するようになり設計時点では想定していない流体振動が発生するようになり高サイクル疲労がエルボ溶接部に発生した. (4)図6 漏えいに至るまでのイベントツリー図 起動停止時の化学体積制御系抽出流量変更時にキャビテーションが発生した。キャビテーションによりオリフィス内側が減肉した。オリフィス下流側の形状が減圧を引き起こす程度までに至ったことから通常の定格出力運転中の一定流量流出時にもキャビテーションが発生するようになった。この定格出力中のキャビテーションによる流量変化により設計時に考慮していない流体による振動が発生した。これにより高サイクル疲労がエルボ溶接部に発生した。 |
経過 |
定格出力にて運転中、原子炉格納容器内の巡視点検中に化学体積制御系配管からホウ酸水の漏えいを発見。原子炉を手動停止した。 |
原因 |
(1)起動停止時の抽出流水流量切替時にオリフィス出口部でキャビテーションが発生しオリフィス内面が減肉した。 (2)オリフィス内面の減肉により通常運転中にもキャビテーションが発生するようになり、このキャビテーションに起因する流体振動が発生するようになった。 (3)この流体振動により高サイクル疲労がエルボ溶接部に発生し漏洩に至った。 |
対処 |
運転操作の仕方によっては、オリフィス下流側の圧力が急変しキャビテーションを発生することがある。 |
対策 |
(1)漏えいエルボ部の取り替え (2)キャビテーションが発生しないような運転操作を行う。 |
知識化 |
急激な圧力変化が生ずるような弁の操作は、キャビテーションが発生する懸念がある。 |
シナリオ |
主シナリオ
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未知、異常事象発生、無知、知識不足、思い込み、使用、運転・使用、機器の運転・操縦、起動停止時の弁操作(流量変更)、圧力の急激な変化、オリフィス、不良現象、熱流体現象、流体現象、キャビテーション、破損、減肉、エロージョン、オリフィス内側の形状変化、使用、運転・使用、機器の運転・操縦、定格出力運転中の一定流量流出、不良現象、熱流体現象、流体現象、キャビテーション、圧力変化、流体振動、配管エルボ、破損、破壊・損傷、疲労、溶接部、肉厚貫通、一次冷却水漏えい
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情報源 |
経済産業省原子力安全・保安院原子力保安管理課編平成13年版(平成12年度実績)原子力施設運転管理年報 関西電力(株)美浜発電所2号機の手動停止の原因と対策について
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死者数 |
0 |
負傷者数 |
0 |
マルチメディアファイル |
図1.漏えい箇所
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図2.オリフィスの減肉及び割れ発生メカニズム
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図3.破壊形態、破壊のメカニズムとプロセスに着目したフォールトツリー図
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図4.設計・製造における不適切・不良に着目したフォールトツリー図
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図5.機器の負荷履歴・環境と材料に着目したフォールトツリー図
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図6.漏えいに至るまでのイベントツリー図
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分野 |
材料
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データ作成者 |
村上 弘良 (日本原子力発電(株))
小林 英男 (東京工業大学)
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